令和5年度、京都社研の会長を務めさせていただくことになりました。歴史と伝統を引き継ぐことに職責の重さを感じつつ社会科を愛する会員の皆様と共に、社会科の学びを深めていく所存です。本研究会では、一貫して「子ども」を主語にした研究主題を設定し、自ら問題意識をもち、子ども一人一人の考え方を大切にした問題解決的な学習を通して、資質・能力を育んでいくことを大切にしてきました。その志を受け継ぎ、社会科を通して、子どもたちにこれからの社会を生きる力を付けていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
5月に新型コロナウイルス感染症の法律上の位置付けが変わり、対面での活動が戻ってきました。そのような状況の中、夏季休業中に授業実践力向上講座が「学習問題って、どのようにつくればいいの?」をテーマに行われました。研修会場いっぱいの参加者で、社会科授業における学習問題に対する関心の高さを実感しました。模擬授業を通した学習問題づくりの実際では、教師の資料提示や発問など学習問題に向かうための社会的事象との出合いの工夫を具体的に学ぶことができました。学習問題が子どもの疑問文をつなぎ合わせた問題文づくりではなく、教師が意図的に設定するものであることを改めて確かめることができました。
また、一日社研では、ポータル配信で島根大学大学院教育学研究科 教授 加藤 寿朗先生の講義「社会的な見方・考え方を働かせる社会科授業デザイン」を視聴しました。社会的な見方・考え方を働かせる学習のキーワードは「問い」でした。学習活動のスイッチとしての「問い」、社会科の中で必要とされる社会を読み解くための「問い」という問いの役割がまとめられていました。さらに、問題解決的な学習過程として「予想する」とともに「調べる課題をつくる」段階の大切さが強調されていました。子ども自身が学習の道筋をとらえ、今、何を調べ確かめようとしているのかを意識できるようにするということです。
さらに、一日社研で研究部から提案された研究構想においても研究の視点として「学習問題の設定」と「見通しの充実」が掲げられています。子ども一人一人が問いを自分事とし、他者とのやり取りを通して自己調整しながら問題解決的な学習を展開することが多様化・複雑化する世の中で求められる社会科授業であると提案しています。
この夏の研修を通して示された問題解決的な学習の充実を図るための課題は、学習問題を含めた「問い」と「見通し」でした。これらは、教師の課題としても考えることができます。研究会員一人一人が研究会活動における課題を自分事と考え、問題意識をもち、よりよい解決に向けて話し合うことができるように努めていきます。令和8年度には、全小社研 京都大会を開催予定です。「見通し」もって準備を進め、京都の社会科学習を全国に発信できるよう研究会員の皆様のご協力をお願いいたします。
京都市小学校社会科教育研究会
会長 岡 博士