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京都市国語教育研究会
第69回 全国国語教育研究大会
【大会研究主題】
ことばに向き合い 自ら学びをつなげ深める子(1)
【日時】 令和9年1月29日(金)
【場所】 京都市立西陣中央小学校
【公開授業】各学年の提案
【講演】 大塚健太郎 文部科学省 初等中等教育局 教科調査官
ようこそ 国語教育研究会へ
本研究会は、大正9年に発足し、昭和30年には全国に向けて研究成果を問う全国大会を始めるなど歴史のある研究会です。
コロナ禍においても研究の歩みを止めることなく、できることをできる形で取り組んできました。令和5年度には、研究会の創立百周年記念大会として研究大会を開催しました。今年度においても、1月29日(金)に行う予定をしています。
今年度の研究テーマは、
「ことばに向き合い、自ら学びをつなげ深める子」
の1年次です。
この1年間の研究活動としては、低学年部・中学年部・高学年部の2学年のまとまりごとで組織編制を行い、一人一人の学びに寄り添いながら、主体的な学び手の育成を目指して、下記の3点に力を注いで研究を進めます。
●主体的な学びを支える「課題設定」と「単元構想」
●知識・技能と思考・判断・表現等の一体的育成のための「看取り」と「支援」の具体化
●学びの深まりの可視化
日々の学習指導の中で、「資質・能力を明らかにし、魅力ある国語科の授業を展開したい」「書くことが苦手な子どもに、書く力をつける手立てを知りたい」「子どもたちが主体的にことばに向き合うには、どうすればよいか知りたい」「教科書が変わり、新教材の教材分析や教材研究をどうすればよいか知りたい」とお悩みの先生方、ぜひ一緒に研究していきましょう。多くの方のご参加をお待ちしています。
(毎月第4金曜日、17時から西陣中央小学校で、低・中・高学年部会を行っています。)
京都市国語教育研究会
会長 髙橋 明希(京都市立西陣中央小学校)
京都市国語教育研究会 ~私たちが目指すもの~
1 大切にしてきたこと
私たちは「一人一人の子どもを徹底的に大切にする」という京都市の教育理念を基にし、「ことばの力」を育てるための実践を積み重ねてきた。国語科の学習の基本的な考え方・多様な指導法を研究の基礎として、取組を継承・発展し伝え続けていきたいと考えてきた。その時代に求められることばの力を付けることを目指し、一貫して次のことを発信し続けてきている。
○子どもが主体的に活動する国語科指導
自らの課題を自覚し、方法を学び、見通しをもって学習できるようにし、一人一人が学んだことで自分の成長を自覚できるような個に応じた学習の流れを工夫すること
○ことばの力を育てる国語科指導
音声言語や文字言語などの情報を理解し表現するための基礎・基本の言語能力を身に付け、学んだことばを用いて交流する中で、自分のことばとして獲得し、より確かな力となるようにすること
○授業研究を中心とした実践的研究
協働的な学びを実現し、学び合う喜びを実感するとともに、交流する中でお互いのおもいや考えが高まり深まり合うような授業実践を大事にすること
このような積み重ねによって、確かなことばの力を育てるとともに、思考力・判断力・表現力を伸ばし、一人一人の子どもが自己実現を図り、主体的に生きる力を育成することを目指してきた。
2 今、求められる学力と国語科指導で目指すもの
Society5.0時代を迎え、生成AIの急速な普及や情報環境の高度化、価値観の多様化が進む中で、子どもたちには、自ら問いをもち、ことばを手がかりに考えをつなげ、他者と協働しながらよりよい解を見いだそうとする力が一層求められている。
令和6年12月の中央教育審議会答申においても、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実が示されており、国語科においては、子どもが主体的にことばに向き合い、自ら学びを調整・深化させていく授業づくりの重要性が強調された。さらに、現在進められている次期学習指導要領の改訂に向けた議論においては「生涯にわたって主体的に学び続け、多様な他者と協働しながら、自らの人生の舵取りをすることができる、民主的で持続可能な社会の創り手を『みんな』で育むため、①主体的・対話的で深い学びの実装、②多様性の包摂、③実現可能性の確保の3つの方向性を踏まえて議論を行う」と提起されている。現行の学習指導要領が目指している「主体的・対話的で深い学び」の方向性は同じにしながら、一層の具現化・深化を求められている。思考力、判断力、表現力等を発揮する中で、知識の概念としての習得や深い意味理解を促すこと、他の学習や生活の場面でも活用できるような、生きて働く「確かな知識」として習得することがより重要となる。知識を相互に関連付けて、より深く理解することなど、学びの質(深さ)を追究していかなければならない。また、多様性の包摂という側面からも一人一人の好きを育み、得意を伸ばしながら、多様な子どもたちの「深い学び」を確かなものにしていかなければならない。子どもたち一人一人の多様な能力・適性、興味・関心、性格、学習経験等に対応した個別最適な学びの実現を目指す中で、より協働的に学ぶことの重要性も増してくる。孤立的な学びに陥ったり、集団の中で個が埋もれてしまったりすることのいずれも避けながら、全ての子どもの資質・能力の育成につながるようにしていく必要がある。他者と協働することにより、新たな考えを生み出したり、自分の考えの特徴に気付いたりして、考えを広げ深めることを目指す。一斉・グループ・個別といった様々な形態を効果的に組み合わせて教育活動を組み立て、個別の学びの充実とともに、協働的な学びの充実を図ることが必要である。
国語科は、すべての教科の学びを支える基盤として、子どもがことばを手がかりに考え、学びをつなげ、深めていく教科である。だからこそ、単元や学年を越えて生かされる「生きて働くことばの力」を育てる授、今まさに求められている。
3 前年度までの成果と課題
昨年度までの研究では、子どもが主体的に「ことばに向き合い」、「自分のことばで表現する」姿を大切にしてきた。そのために、
【重点1】主体的な学びを支える「課題設定」と「単元構想」
【重点2】個に応じた「見取り」と「支援」の具体化
【重点3】学びの深化と共有を促す「振り返り」と「全体化」
を研究の重点として設定した。様々な個性をもつ子ども一人一人の多様な学びを支えることを重視し、単元全体を見通した単元構想の工夫や、個々の子どもにとっての課題解決の過程となる学習展開についての工夫などについて研究を進めてきた。その中で、子どもの思考を深める場面や協働的な学びを促す場面における教師の働きかけについて、見取りや支援の在り方、全体化の仕方などを改善することができ、子どもが自分なりの考えをもち、他者と関わりながら学びを深めていく姿が見られるようになった点は成果である。
その一方で、研究を進める中でいくつかの課題も明らかになった。まず、「大きな問い」「小さな問い」「問いの更新」「単元の課題」「単元を通した課題」「学びの複線化」といった用語や概念について、研究会全体として十分に整理・共有できなかったため、各単元における課題や問いの位置付けが不明確になる場合があった。また、設定した課題や問いが指導事項とずれてしまったり、子どもにとって自分事として捉えにくいものになったりすることも課題として挙げられる。さらに、単元を通して設定した言語活動と指導事項とが必ずしも一致せず、国語科として育成したい力と学習活動とが十分に結び付かない場面も見受けられた。
これらの成果と課題を踏まえ、今年度は獲得したことばや考えを次の学びへとつなげ、学びそのものを発展・深化させていく姿に焦点を当てる。子どもが「学びはつながっている」「学びは深められる」という実感をもつことができる姿を目指す。
4 今年度の研究テーマと取組の重点について
【ことばに向き合う】
文章を読んだり、話をしたりすることを通して、子どもたちはさまざまなことばに日々触れている。自ら文章に向き合って繰り返し読んだり、相手意識をもってことばを選んだり、ことばにこだわりをもって向き合う姿を求めたい。そのために、子どもたち一人一人が自分事として課題をもち、課題解決に向かうことができるようにしたい。また、自分の考えを構築するために、思考するためのことばを自分で獲得することも必要である。文章を読んだり、話したりすることを通して、ことばに対する理解を深めると同時に、獲得したことばの質を高めたり深めたりすることを目指したい。
【自ら学びをつなげ深める】
子ども一人一人が「ことばに向き合う」ことで、さまざまなことばに出会い、獲得していく。このようにして獲得した知識・技能や経験を基に理解を深め、解釈したり自分の考えをもったりすることができる。ことばを手がかりに、自分のこれまでの学びや経験、他者の考えと関連付けながら、自ら理解や考えを更新していく姿を求めたい。「学びをつなげる」とは、単元内・単元間、さらには他教科や日常生活との関わりの中で、既に獲得したことばや考えを生かしながら、新たな学びに向かうことである。その過程で子どもは、「前はこう考えていた」「別の場面でも使えそうだ」「考えが変わった」というように、自分の学びを意識化していく。さらに「学びを深める」とは、一度得た理解や考えを固定するのではなく、問い直しや対話、振り返りを通して、より確かなものへと捉え直していくことである。繰り返し文章に向き合ったり、ことばの使い方にこだわったりする中で、子ども自身が学びの質そのものを高めていくことを目指したい。
本研究では、このように、一人一人の学びに寄り添いながら、ことばを通して学びを関連付け、更新し続ける主体的な学び手を育成することを目指している。子ども自身が他者との協働的な学びを通して、「学びはつながり、深まっていくものだ」と実感できる国語科指導の在り方を追究していく。そのために、次の点を大切にしながら取り組む。
【重点1】主体的に学びをつなぐ「課題設定」と「単元構想」
【重点2】知識・技能と思考・判断・表現等の一体的育成のための
「見取り」と「支援」の具体化
【重点3】学びの深まりの可視化
【重点1】主体的に学びをつなぐ「課題設定」と「単元構想」
―学びの方向性と必然性をつくる―
子どもが主体的に学ぶためには、学びを断片化させるのではなく、学習内容を構造化し、学びのつながりや系統性を明確にすることが重要である。国語科においても、単元や時間ごとの活動が点在するのではなく、子どもが「何のために学ぶのか」「これまでの学びとどうつながるのか」を意識しながら学習に向かうことが求められている。
本研究では、子どもが自らことばに向き合い、課題意識をもって学びを進めていくことができるよう、子どもにとって必然性のある課題設定と、学びの連続性が見える単元構想を重視する。単元の導入では、既有の知識や生活経験などと結び付けながら自分事となるように課題を設定し、課題追究の過程では、学びがどのように深まっていくのかを子ども自身が自覚できる構成を工夫していく。
このような課題設定と単元構想を通して、子どもが学びを「与えられるもの」ではなく、「自らつないでいくもの」として捉えられるようにしていきたい。
〈そのために・・・〉
・単元で取り上げる指導事項を明確化する。
・教師側が十分な指導事項分析・教材分析・言語活動分析をする。
・子どもが「なぜ?」「どうして?」「やってみたい」「学びたい」と感じるような導入を工夫する。
・指導事項と密接に結び付いた言語活動を設定し、一人一人が自分事として課題をもてるようにする。
・単元全体を見通した構想を立て、1時間ごとの授業がその中でどう位置づけられるかを明確にする。
・子どもが「この時間は何をするのか」を自覚し、次の学びを生み出すことができるようにする。
など
【重点2】知識・技能と思考・判断・表現等の一体的育成のための「見取り」と「支援」の具体化
― ことばを使って、学びを深める ―
これからの子どもにとって、知識・技能を個別に習得する学びから、それらを活用しながら思考し、判断し、表現する学びへと一層転換していくことが必要である。国語科における語句や表現、文章構成などの知識・技能も、思考・判断・表現の過程と切り離されたものではなく、考えるための手がかり、表現を支える基盤として機能することが重要である。
本研究では、知識・技能の習得と活用を往還させる学習過程を重視し、子どもが「このことばを使うことで何が分かったのか」「考えがどう変わったのか」を実感できる学びを目指す。読むこと・書くこと・話すこと・聞くことを通して得た気付きが、次の思考や表現につながり、再び知識として整理されていく。そのような循環的な学びこそが、学びを深める力を育むと考える。
知識・技能と思考・判断・表現等を一体として育成する授業づくりを通して、子どもがことばを自分の思考の道具として使いこなし、学びを主体的に深めていく姿を追究していく。
〈そのために・・・〉
・単元で取り上げる知識・技能と思考・判断・表現等の指導事項の整合性を検討する。
・単元目標を知識・技能と思考・判断・表現等を一体化したものに改善する。
・評価の改善→指導事項とより結び付いた教師の見取り
・知識・技能を単に身に付けるのではなく、考えを深め、表現を磨くための道具として使う学びを展開する。
・教師の指導性の発揮(つまずきの予測、具体的な支援、声かけのタイミング・内容、問い返しなど)
・思考・判断・表現等の力を発揮する中で、知識・技能を活用する具体的な姿を想定し、それを生み出すための支援を検討する。
・学びを深めるための教師の働きかけのタイミングと方法を明確にする。
など
【重点3】学びの深まりの可視化
― 学びを自覚し、次につなげる ―
論点整理では、学習成果だけでなく、学びの過程そのものを重視する視点が示されており、振り返りや評価の在り方についても再整理が進められている。国語科においては、子どもが自分の考えの変容や学びのつながりを自覚することが、次の学びへの意欲や主体性につながる。
本研究では、振り返りを単なる感想や活動の確認に終わらせず、「何が分かったのか」「どのようにつながったのか」「次に何を考えたいのか」を捉える場として位置付ける。また、個々の振り返りを全体で共有し、価値付ける全体化を通して、個の学びを集団の知へと高めていく過程を大切にする。
学びの過程を可視化し、対話や振り返りを通して学びを更新していくことにより、子どもが自ら学びを深め続ける主体的な学び手として成長していく姿を目指す。
〈そのために・・・〉
・振り返りを通して、子どもが自分の考えの変容や学びのつながりを自覚できるようにする。
・一人一人の学びを全体で共有し、クラス全体の学びへと広げていく。
・対話の場や共有の仕組み(掲示・ポートフォリオ・ICT活用など)を整える。
・自分の学びの現在地を把握する。
・他者の考えとの関係の中で学びを再構成し、次の課題や問いを見いだすようにする。
など
このように、重点①が学びの構想と方向付けを担い、重点②が学びの深化を支え、重点③が学びを自覚化し、再び次の学びへと循環させる役割を果たすことで、三つの重点は循環的に結び付いている。この循環そのものが、子どもがことばに向き合い、自ら学びをつなげ深める学び手へと成長していく姿であり、本研究主題の具現化である。
5 単元構想について
〇育成する資質・能力を明確にした単元構想
単元構想にあたっては、育成を目指す資質・能力(単元で取り上げる指導事項)を明確にし、子どもが「これまでの学びを生かしながら、さらに学びを深めていく」姿を具体的に想定することが重要である。また、単元内だけでなく、他単元や他教科との関連、学年を越えた系統性を意識し、ことばの学びが螺旋的に高まっていくよう工夫する。そのためにも、一人一人の学びの道筋が可視化される単元構想図の検討を進めていきたい。
「課題設定の時間」では、子どもたちが今まで付けてきた力を振り返り、見通しをもって単元の学習に向かうことができるような工夫をする。指導事項との結び付きを意識しながら、子どもたちの「学びたい」という学びに向かう姿を引き出したい。
「試行錯誤の時間」では、一人一人が自分のことばにこだわりながら、課題解決に向かってことばに向き合っていく。ひとり学びやグループ学び、全体学びを通して一人一人の考えを高め合う活動を大切にする。このことが「まとめ・振り返りの時間」での自己の学びの評価につながり、自己の変容を確かにすることができる。
さらに、単元構想を考えるにあたり、「事前」「事後」において、国語科の他の単元における学習との関連や各教科等の学習との関連も考慮されなければならない。子どもたちが、すでに身に付けている資質・能力を確認しながら、子どもたちの言語能力が螺旋的に高まるよう、系統化した指導が行われるように留意する。
日程(すでに終わったものを含む)
| 月日 | 内容 |
| 5月 | 総会 |
|
7月28日(火) |
国語指導講座 授業実践力向上講座 |
| 随時 |
部会・授業研修会(低・中・高) 毎月第4金曜日、17時から西陣中央小学校にて(変更となることがあります) |
| 令和9年1月29日(金) |
全国国語教育研究大会 会場:西陣中央小学校 |