最終稿【丹後】
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本研究で目指す態度の育成に向けては,実際に児童が言語だけでなく非言語的要素を含めた表現に触れながら,相手意識をもってコミュニケーションを図る体験を積み重ねることが必要である。その中で,児童自身がコミュニケーションそのものの楽しさや相手意識をもつことのよさに気付くこと,そして,指導者が児童の気付きを価値付けることが重要になる。 ① コミュニケーションは,「話す」ことというよ (2) 学校法人産業能率大学 『第7回 新入社員のグローバル意識調査』 2017.10 p.3 https://www.sanno.ac.jp/admin/research/fm3fav0000000hbz-att/global2017.pdf 2021.3.1 (3) 前掲(2) p.2 (4) 文部科学省 『今後の英語教育の改善・充実方策について報告(案)』 2014.10 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/102/shiryo/attach/1352317.htm 2021.3.1 (5) 文部科学省 『外国語ワーキング(第1・2回)における主な意見』 2015.12 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/058/siryo/attach/1365354.htm 2021.3.1 (6) 文部科学省 『資料5 言語能力について(整理メモ)』2016.1 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/ chukyo3/06/siryo/attach/1366049.htm 2021.3.1 (7) 文部科学省 『今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~』2014.10 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/102/houkoku/attach/1352464.htm 2021.3.1 (8) 野瀬 範裕「小学校における英語活動の研究―小学校「早期英語教育」推進事業を通して」『奈良県立教育研究所 平成18年度研究紀要・研究集録』2007.3 p.3 (9) 文部科学省 『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編』東洋館出版社 2017.7 p.57 (10) 前掲(6) p.8 (11) 高木 幸子「コミュニケーションにおける表現及び身体動 作の役割」『早稲田大学大学院文学研究科紀要』 2006.2 p.26 128 英語活動を通して大切にしていきたいこれらの姿は,中学年以降の外国語教育にもつながる姿であると考える。言語表現がより豊かになり,言語によるコミュニケーション能力が高まった段階においても,既習表現を活用しながら,相手意識をもって互いの考えや思いを伝え合おうとする姿勢は必要不可欠である。また,日常のコミュニケーションにおいても,相手に自分の考えや思いを伝えるといった本質は変わらない。 以上のように,本章で述べてきたことを踏まえ,本研究では低学年英語活動を通して,この「主体的にコミュニケーションを図ろうとする態度」の育成を目指すこととした。 り,相手の話を「聞く」ことから始まる。聞いて相手の話していることがわかる体験をたくさん児童にさせることが大切である。そこで、児童に聞かせる工夫の1つとして、絵本の読み聞かせが考えられる。 第2章 主体的にコミュニケーションを図本章では,主体的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を目指して,実際にどのような手だてを講じていくかについて述べていく。 第1節 英語絵本の読み聞かせの充実 絵本の読み聞かせでは,必ず「読み手」と「聞き手」が存在する。絵本は,読み手と聞き手が一つの物語を通して同じ場面を共有し,互いの考えや気持ちを通わせるコミュニケーションツールの一つである。読み手は英語絵本の内容がよりわかりやすく相手に伝わるように様々な工夫を凝らし,聞き手は様々な情報から物語の大体を推測しながら聞くといった関係性が生まれるであろう。この関係性は,本研究が目指す「相手によりわかりやすいように伝える姿」と「相手の伝えようとしていることを考えながら聞く姿」に通じると考える。 そこで,本研究では,英語絵本を活用しながら研究実践を進めることで,主体的にコミュニケーションを図ろうとする児童の姿に迫っていきたいと考える。 (1)「推測しながら聞く力」の育成 文部科学省では,外国語教育において英語の絵本を取り入れるメリットとして,次のような点について述べている(12)。 ろうとする態度を育成するために

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