最終稿【丹後】
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A「話すこと・聞くこと」 (1) ウ 伝えたい事柄や相手に応じて,声の大 エ 話し手が知らせたいことや自分が聞き オ 互いの話に関心をもち,相手の話を受 目標の中には,相手意識を感じさせるような内容が示されている。このことから,低学年においては,相手を意識しながら話したり聞いたりすることを目指した取組が必要であると考える。 操作期である7歳から12歳において,自分の行動が他者に与える影響を考慮することも可能となり,社会的な相互作用を理解する基礎が形成されてくるということである(8)。つまり,低学年児童の発達段階は,自己中心的な姿から他者の心理を推測することができる姿へと成長し始める過渡期に当たるといえる。よって,低学年児童に「相手意識」の大切さに気付かせることは,発達段階的にも適しており,効果的であると考える。 では,相手意識をもったコミュニケーションについて,低学年児童の目指す姿とは,どのようなものだろうか。小学校学習指導要領解説 国語科編の低学年における「話すこと・聞くこと」の目標の中には次のような内容が示されている(9)。 しかし,日本語を母語とする者同士でのコミュニケーションでは,ある程度の言語習得ができており言語文化を共有できるからこそ,意思疎通を図る難しさを感じることは少ないだろう。そう考えると,日常言語とは異なる言語を通してコミュニケーションを図ることで,意思疎通を図る難しさを感じるのではないだろうか。外国語でのコミュニケーションだからこそ,「相手にどうしたら伝わるか」「相手は何を伝えようとしているのか」という「相手意識」の大切さに気付きやすいのではないかと考える。そこで,本研究では,児童の発達段階及びコミュニケーションに使用する言語に着目し,低学年「英語活動」を通して研究を進めていくこととした。 (2)英語活動で育む「コミュニケーション能力」 低学年の段階では,使用できる英語表現は少なく,言語だけではよりよいコミュニケーションをきさや速さなどを工夫する。 たいことを落とさないように集中して聞き,話の内容をとらえて感想を持つこと。 けて話をつなぐこと。 (下線は筆者による) 図ることが難しいであろう。そこで,コュニケーションを図る上で有効な手段として,非言語的要素にも着目することにした。 コミュニケーションは大きく分けると二つに分類される。言葉による言語コミュニケーションと,見た目や表情などの視覚情報,声の大きさや話す速さなどの聴覚情報といった,言葉によらない非言語コミュニケーションである。コミュニケーションや創造的思考などの諸活動は,言葉によってのみ支えられているものではなく,言葉以外にも,形や色などのイメージや,身体の動き,音の強弱やリズムなどの多様な手段が関係しているとされている(10)。 メラビアン(1968)によると,メッセージ全体の印象を100%とした場合,言語内容の占める割合はわずか7%で,音声や音質が38%,表情やしぐさは55%であるという(11)。つまり,他者と対面でコミュニケーションを図るときに,互いの考えや気持ちを理解するための情報の93%を非言語的要素が占めているということになる。言語では伝わりきらない部分を非言語的要素で補うことで,自分の考えをわかりやすく表現し,聞き手の正しい理解を促すことができるのである。実際にコミュニケーションを図る中で,児童が非言語的要素の有用性に気付き,コミュニケーションに生かそうとする姿を目指していくことで,相手意識を高めることができると考えられる。 このように,コミュニケーションを図る中で,相手意識の大切さに気付き,言語だけでなく非言語的要素を活用しながら「相手によりわかりやすいように伝える姿」や「様々な情報をもとに伝えようとしている内容を推測しながら聞く姿」を育んでいくことが重要であると考える。そして,それらの姿を支えるのが,粘り強さや間違いを恐れずに挑戦する気持ちではないだろうか。こうした姿こそ,主体的にコミュニケーションを図ろうとする姿であるととらえ,図1-2にその姿を示す。 127 図1-2 本研究が目指す児童の姿 小学校 外国語教育 3

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