最終稿【丹後】
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138 図3-5 1年生への読み聞かせ練習の様子 に,心を躍らせるような期待感も感じられた。 まず,「1年生に伝わるように,1年生が楽しめるようにするためにはどうしたらよいか」について全体で話し合う時間を設定した。すると,児童の口から「わからない英語は日本語で言う」「英語で読み聞かせをした後に日本語で読み聞かせをする」といった意見が出てきた。もちろん,ここでは日本語によるやり取りを目指しているのではなく,英語を用いた活動を大切にしたいと考えていた。 そこで,指導者は,これまでの学習を通して英語を使って表現できるようになった児童の姿や相手の伝えたいことを考えながらしっかり聞こうとする姿,そして相手に伝わるように何とか伝えようとする姿を振り返った。指導者は,そうした児童の姿を改めて価値付けるとともに,1年生に対する読み聞かせでも大切にしてほしいという思いを伝えた。 すると,児童の中からジェスチャーを工夫して動物を表現することや,表情は笑顔で読み聞かせを行うこと,そして,初めと終わりにはあいさつをすることなど,様々な工夫が出てきた。 これらの工夫について全体で共有した後,グループごとに話し合ったり練習したりする時間を設けた。図3-5にその活動の様子を示す。 ここでは,児童から出てくる様々なアイデアを尊重しながら活動を進めた。「まずは自分たちでやってみる」ことを大切にし,試行錯誤しながら取り組む児童の姿を価値付けるようにした。すると児童は,読み聞かせを行う順番について相談したり英語表現を確かめ合ったりしながら,自分たちで活動を進めている様子が見られた。しかし一方で,活動をうまく進めることができないグループもいくつかあった。そうしたグループに対して,指導者が児童の困りに寄り添って一緒に考えたり,児童の姿を見守りながら一人一人の頑張りやグループで協力できている姿に対して丁寧に言葉がけを行ったりすることで,児童は活動をスムーズに進めることができた。 グループ活動を終え,中間交流として互いのよいところやアドバイスを伝え合う活動に取り組んだ。図3-6がその様子である。 それぞれのグループがオリジナルの読み聞かせを行う様子を見合い,「伝わる声の大きさでできていた」「動物のジェスチャーができていた」「実際に動物が見ている感じがした」「最後に(1年生に向けて)『I see children looking at me』のセリフを取り入れたのがよかった」など,互いの良いところを見つけたりアドバイスしたりすることができた。その後,自分たちの読み聞かせをよりよいものにするために,中間交流を生かし後半の活動に取り組んだ。 読み聞かせを次回に控えた授業の振り返りでは,次の図3-7のような記述が見られた。 記述内容を見ると,目的・場面設定の工夫が活動に対する動機付けとなったことや,児童の意欲的な姿や主体的に活動に取り組もうとする姿につながっていることがうかがえた。 今回は映像を通して読み聞かせを実施した。実図3-6 練習成果を確認し合う中間交流の様子 図3-7 児童の振り返り①(2年)

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