最終稿【丹後】
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図3-2 体を動かしながら読み聞かせを楽しむ児童の様子 ・全て英語で読み聞かせを行った。 ・登場人物の行動や気分を表情や動作で表現した。 ・児童にとって難しそうな英語表現が出てきたときは絵本に描かれている絵を指し示しながら伝えた。 ・話の展開が変化する場面では,声の調子を変えた。 2回の読み聞かせを通して,体を使って表現することに対して抵抗感の少ない低学年にとって,動作化しながら読み聞かせの楽しさを味わうことはとても有効であることがわかった。また,自然と体を使って表現できる低学年児童の特性を生かし,今後,身体表現を中心として非言語的要素を取り入れたコミュニケーション活動を大切にしていくことで,児童が楽しみながらコミュニケーションを図ろうとする姿につなげていきたいと考えた。 〇推測させるために 2年生Unit1「いくつかなクイズをしよう」の第1時の学習活動では,数の英語表現に親しむと同時に,一連のストーリーを推測しながら聞く姿を目指して,「THE VERY HUNGRY CATERPILLAR」の読み聞かせを行った。この際,指導者が使用する言語は英語のみとし,何とか児童に伝えようとする姿を見せるように意識した。実際に,次のような指導者の読み聞かせの工夫を行った。 数の英語表現については,1年生の時に親しんできており,児童は言葉だけで十分理解できていた。数多く登場する食べ物の英語表現についても,指導者が指さす絵と合わせて理解している様子がうかがえた。様々な感覚を使って話を想像させることを目的として,指導者は,表情やジェスチャーを工夫したり,描かれている絵を指し示したりしながら,児童が場面や状況をとらえられるように読み進めた。 この話の展開の中には,主人公の青虫の「①おなかがすいている」「②おなかが痛い」「③おなかの痛みが治った」といった状態の変化が描かれている。お話の初め,繰り返される既習表現「hungry」の言葉と指導者がおなかをさする様子から,「おなかがすいているんだ」といった反応を示し,何度も繰り返される同じ表現に「まだ食べるの?」といった反応を示していた。また,話の内容を理解し,展開のおもしろさを感じている様子がうかがえた。いよいよ展開が変わり,食べ過ぎておなかを痛める場面や,それが治った場面においても同じようにおなかを触る動きを行った。図3-3は,実際の指導者の読み聞かせの様子である。 【①】 【②】 【③】 図3-3の写真のとおり,動きとしてはあまり変化が見えにくい形だった。しかし,指導者は,動作だけではなく表情や声の感じを変化させながら,児童に伝わるように工夫を取り入れていた。児童は「①He was still hungry」「②He had a stomachache」「③He felt much better」といった表現の違いを理解している反応を示した。ここで児童は,指導者の言葉や動きだけでなく,表情や声の感じも読み取りながら読み聞かせを聞いていることが分かった。 このことから,「推測しながら聞く姿」は,言語だけでなく,様々な非言語情報を大切にしながら伝えることによってもたらされたと考えられる。 〇発話を促すために 2年生Unit3「オリジナル絵本を作ろう」第2時の学習活動では,色と動物の英語表現に慣れ親しむとともに,児童が自分から進んで英語で表現しようとする姿を目指して,「Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?」の読み聞かせを行った。この絵本は「Brown Bear, Brown Bear, What do you see?」「I see a red bird looking at me」といった表現が繰り返し使われ,ページをめくるごとに色と動物が変わっていく展開となっている。児童は,第1時の読み聞かせを通して,登場 135 図3-3 推測させる読み聞かせの様子 小学校 外国語教育 11

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