これまで述べてきたことを踏まえながら,日常生活の中で,自分の思いを意欲的に伝えようとする低学年児童の姿を大切にしていきたいと考える。さらに,普段と違った言語を扱う英語活動だからこそ感じる伝わりづらさや理解しづらさを経験し,思考を働かせる場面や目的を意図的に設定していきたいと考える。難しいことに直面したときにも挑戦しようとする姿を価値付け,児童自身が思考を働かせながら取り組む活動が楽しいと感じられる実践を進めていく。そこで得られた達成感や充実感を通して,相手意識をもったコミュニケーションの大切さに気付くことができる。それが,本研究の目指す主体的な姿につながると考える。本研究の構想図を図2-3に示す。 第3章 研究実践について 第1節 英語絵本を活用した実践 (1) 実践計画 (12) 文部科学省 『中学年を対象とした,絵本活用に関する基本的な考え方』2016.5. https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/__icsFiles/afieldfile/2016/05/02/1370109_1_1.pdf 2021.3.1 (13) 樋口 忠彦, 國方 太司, 髙橋 一幸, 大城 賢 『小学校英語教育の展開-よりよい英語活動への提言』研究社 2010.6 (14) Eric Carle 『THE VERY HUNGRY CATERPILLAR』Philomel Books 1969 132 図2-3 研究構想図 第1時 あいさつ 第2時 色 第3時 数 第4時 体の部位 第5時 じゃんけん 主な言語材料 気持ち 『Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?』『Tiny Boppers』(16) 『From Head to Toe』(17) (15) 取り扱う絵本 第4節 研究の構想 本研究では,絵本の読み聞かせに慣れ親しむように,学習内容に関連付けながら絵本の読み聞かせの活動を導入した。次に,計画について述べていく。 〇1年生の実践 1年生の英語活動は,全2単元,各単元5時間ずつの計10時間設定されている。 Unit1では,様々な言語材料をもとに多くの英語表現を聞いたり声に出したりする活動を通して,英語活動の楽しさを味わうことを目標としている。初めて英語学習に取り組む1年生にとって,「英語活動が楽しい」と感じられるような読み聞かせを実施することが大切であると考えた。そこで,第2時から第4時において,各時間に取り扱っている言語材料に即した絵本を選定し,絵本の読み聞かせの活動を授業の初めに取り入れた。ここでは,児童と一緒に声に出したり,体を動かしたりできるような題材を選び,実践した。表3-1は,各時間に扱われる主な言語材料とその時間に活用した絵本を示したものである。 表3-1 1年Unit1 単元計画 これらの絵本に共通する特徴は,似たフレーズを繰り返しながら話が展開されている点である。そのため,児童がまねをしたり次の展開を予測しながら声に出したりしやすいと考えた。また,「Tiny Boppers」「From Head to Toe」に関しては,動物などが様々な動作をする姿を見て,まねをしながら読み進めることができる絵本であり,児童が動作化を楽しみながら英語に慣れ親しむことができると考えた。 Unit2では,「自分のオリジナルちょうちょをしょうかいしよう」という単元目標で,それぞれの児童が自分の思いをもってオリジナルちょうちょを作成,紹介する活動を行う。第1時から第3時において,毎時間の導入部分で「A Beautiful Butterfly」(18)の絵本の読み聞かせを実施した。この絵本は,似たフレーズが繰り返し使用されているが,全体が起承転結で構成されている点が,Unit1で取り扱った絵本と異なる。また,本単元では同じ絵本を扱い,それぞれの時間によってどのような児童の姿を目指しながら読み聞かせを行
元のページ ../index.html#10