001総教CR30430R2研究論文(木村)
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(下線は筆者による) (下線は筆者による) 6 は論理的思考力,創造性,問題解決能力である。 この会議の議論の取りまとめでは,これからの時代に求められる資質・能力として以下の3点が示された(3)。 ①情報を読み解く ②情報技術を手段として使いこなしながら,論理的・ ③感性を働かせながら,よりよい社会や人生の在り方 これからの時代,すなわち情報化が進展する社会を生きていく子どもたちには,加速度的に増え続ける複雑な情報を読み解くための読解力がまずもって必要であるとされている。 そして,読み解いた情報をもとに論理的・創造的に考え,解決すべき課題や解決の方向性を見いだせたなら,多様な他者と協働して解決していかなければならない。予測困難な社会といわれているように変化の激しい社会であるから,既存の方法が通じるとは限らない。前例や固定概念に縛られない創造的な思考が必要になる。そして,情報を収集・整理し,発信・伝達する過程全てにおいて,情報技術とそれらを効果的に活用する力が必要である。 このような活動を支えるのは感性であるという。想像を膨らませたり,他者の感情や考えにも配慮したり,まだ存在しないものを作り出したりすることができるのは人間の強みである。こうした感性を働かせながら,社会やこれからの人生のために自身の力を生かそうとする姿勢が社会に求められているのである。 これらの資質・能力を育むために,プログラミング教育として何を目指すのかも,同会議において整理された。それを以下に示す(4)。 創造的に思考して課題を発見・解決し,新たな価値を創造する について考え,学んだことを生かそうとする 【知識・技能】 身近な生活でコンピュータが活用されていることや,問題の解決には必要な手順があることに気付くこと。 【思考力・判断力・表現力等】 発達の段階に即して,「プログラミング的思考」を育成すること。 【学びに向かう力・人間性等】 発達の段階に即して,コンピュータの働きを,より良 い人生や社会づくりに生かそうとする態度を涵養する こと。 小学校 プログラミング教育 2 自分の意図する一連の活動を実現するために,どのような動きの組合せが必要であり,一つ一つの動きに対応した記号を,どのように組み合わせたらいいのか,記号の組合せをどのように改善していけば,より意図した活動に近づくのか,といったことを論理的に考えていく力 複雑な文脈の中から読み解いた情報を基に論理的・創造的に考え,解決すべき課題や解決の方向性を自ら見いだし,多様な他者と協働して新たな価値を創造していくための力が求められる。 思考力・判断力・表現力等にあるプログラミング的思考だが,これは先述した「情報技術を手段として使いこなしながら,論理的・創造的に思考して課題を発見・解決し,新たな価値を創造する」資質・能力を支える思考として示されている (5)。有識者会議の会議名に示された力に関わる思考であり,正にプログラミング教育の要といえよう。 (3)プログラミング的思考とは プログラミング的思考の定義は,以下のように示されている(6)。 自分の意図を実現するための動き(記号)の組合せを考え,それを改善していくために論理的に考えるというイメージがとらえやすい。ビジュアルプログラミングソフトを使った例としてよく知られている正多角形の作図の場面においては,キャラクターへの命令である「50歩進む」「60°向きを変える」などのブロック,すなわち記号を組み合わせ,その組合せを修正して最適な手順を導く活動がイメージできるであろう。このように考えることは,問題解決のための手順を最適化する力と言い換えることができるかもしれない。 もう一つ,忘れてはならないのは,「自分の意図する一連の活動を実現するために」という一文である。この意図,すなわちどのように問題解決をするかという方向性を考えることなしに問題解決がなされることはない。 先述した議論の取りまとめにおいても,これからの時代に求められる資質・能力の②に関して,以下のように示されている(7)。 問題をとらえ,課題を発見し,解決の方向性を考える段階からできるようになる力の必要性が指摘されている。

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