001総教CR30430R2研究論文(木村)
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おわりに (21)井口嘉則監修『-今すぐ使えるビジネスの強化書-世界基準の問題解決術』宝島社 2015.12 28 こういったICTと思考ツールの活用は,企業ではよく見られる光景になりつつある。 例えば,ビジネスの世界ではフレームワークとして,思考を整理するための図や方法が活用されている(21)。もちろん,個人が自身の思考を整理するために使うこともあるのだが,企業における製品開発や企画はチームで行われることも多い。チームでフレームワークを用いてアイデアを出し合い,いうなれば問題解決の方向性を考えるわけである。それを常にメンバーが1か所に集まって会議するのかといえばそうではなく,コロナ禍において急速に広まった在宅勤務をしながら,あるいは遠方の別会社にいながら,テレビ会議システムを使って会議をするのである。グローバル化が進み,国際的な視野で人材確保を目指す企業が増えていることを考えると,遠隔地にいるメンバー同士がICTを活用して会議をする光景は,今後ますます増えるであろう。 ICTと思考ツールを活用し問題解決する力は,これからを生きる子どもたちが社会に出てから必要とされる力と正に直結しているのである。これからの公教育においては,思考スキルや思考ツールを活用する力をどのように育むのかという視点に合わせて,どのようにICT活用能力を育むのかという視点も重要であることは間違いない。 本研究を進めている間にも,国内の教育事情は大きく変化した。コロナ禍におけるGIGAスクール構想の前倒しは,その中でも最も大きな変化の一つといっていいであろう。 児童一人につき1台の情報端末が配布される。これが教育現場に何をもたらすのか,日本の学校教育をどう変革させ得るのか,正に予測困難な状況である。現場が混乱するであろうこと,今現に混乱しているであろうことは想像に難くない。 ICTは確かに便利で優秀な道具である。筆記用具と同じように使いこなせた方が良いに違いない。むしろ,筆記用具以上に使いこなす必要のある道具になりつつあるのかもしれない。だが,筆記用具の使い方の訓練に時間をかけ続ける授業は,どれほどあるだろうか。それ以上に,筆記用具を当小学校 プログラミング教育 24 たり前の道具としながら,どのような力を身に付けるかを重要視するはずである。 プログラミング教育は,問題解決能力を育むための教育である。そもそもプログラミング教育を内包する情報教育そのものが,情報を活用していかに問題解決するかという力を育むことをねらいとしている。児童が主体的に問題解決する姿,その理想を追求する一助にこの研究が役立てば幸いである。 今年度は教員にとって,コロナ禍という状況において否応なく教育現場の変化に対応せざるを得ない年であった。そのような状況下で日々の教育活動が大変忙しいにもかかわらず,本研究の趣旨を理解し,協力してくださった京都市立元町小学校と京都市立砂川小学校の校長先生をはじめ,研究協力員の先生方,温かく迎えてくださった両校の教職員の皆様,そしていつも全力で授業に参加してくれた子どもたちに,最後に心から感謝の意を表したい。

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