原文ママ,ただし下線は筆者) 原文ママ,ただし下線は筆者) 小学校 プログラミング教育 20 24 グラミング的思考を含む思考スキルやそれを促す思考ツールがどういう方略なのか,どんな場面で有効なのかを児童がより実感するためにも,振り返りは欠かせないと考えられる。そこで,習得期における児童の振り返りを示し,分析する。 以下は,小数や整数と分数が混ざった計算の仕方をステップチャートで説明する活動後の振り返りである。 置き換えると計算できる。 やすくなる。⑤算数の基本にははかせ(はやく,かんたん に,せいかくに)があるので,ステップチャートは算数に 向いていると思った。 下線部④には,情報が整理されてわかりやすくなるという,ステップチャートの有効性が述べられていることがわかる。算数科で育む資質・能力には事象を簡潔・明瞭・的確に表す力が含まれているが,下線部⑤からはそういった力とステップチャートとの関連をとらえた表記が見られる。 また,国語科では以下のような振り返りが見られた。 ・テーマを決めるためにピラミッドチャートを使って,決 ・一つ一つの問題に関することに気付けるので,⑦理由も この振り返りが行われた授業は,自分たちが解決したいと思っている身近な問題をたくさん挙げた中から,自分たちの班のテーマを一つ選ぶというものであった。 ピラミッドチャートの下段に身近な問題をたくさん挙げ,そこから中段に選ぶ際,どんな理由で選んだかが重要となる。それはつまり,選んだ人がどのような視点を大切にしているかが,その理由に表れるからである。この班の児童は,「食べ残しは身近な問題だし,給食調理員さんが困るから解決したい」「台風や地震など対策をすればその分分数と小数が混ざった計算をするときは,小数を分数にステップチャートを使うと,④情報が整理されて分かり(6年生「分数×分数」での振り返りから めて,すごくみんなは,そうおもっているんだとか一回一回⑥理由を聞けたりまとめやすかったので,グループで決めるときは,ピラミッドチャートを使いたいです。 まとめやすかったです。 (6年生「私たちにできること」での振り返りから 被害を減らせるから」など,理由を明らかにしながら話し合いを行っていた。 国語科としてのこの授業の目標は「目的や意図に応じて,感じたことや考えたことなどから書くことを選ぶ」ことだが,児童の言う下線部⑥⑦の理由が正にこの目的や意図に当たるであろう。振り返りからこの二人はめあてを達成できたことを見て取ることができた。 児童による自身の思考の振り返りは,プログラミング的思考を含む思考スキルや思考ツールがどのようなときに使えるものなのか,有効性を実感できるようにすることをねらいとして行っている。同時に,どのように考えたことがどのように良かったのかを振り返ることは,適切に行うことで教科等の振り返りとしても有効だということも,これら算数科と国語科の事例から見えてきた。 しかしながら,本研究実践事後に行った研究協力員へのインタビューでは,この振り返りが一番難しいとの感想を得た。一部の児童にとっては自身がどう思考したのかを把握したり言語化したりすることが難しいということが指摘された。 この課題の解消方法としては,思考ツールの使い方を説明する際の言語化と動作化,それらの反復が考えられる。 例えば,分解とアルゴリズム的思考を促すステップチャートの使い方を説明する場合であれば,「小さく分けた動きの一つを付箋に書いて,それを順番に並べよう」のように児童に指示することができる。その上で,大きな動きを小さな動きに分解して付箋に記述したり,その付箋の順番を並べ替えたりするのである。児童は,指導者の動作と「分ける」「順番に並べる」という言語によって,分解とアルゴリズム的思考のイメージを確かなものにしていく。 また,「順序立てる」のような思考スキルをカードにしておき,黒板に貼って示す方法も考えられるであろう。 これらの手だては,思考ツールの使い方を初めて教える場面では必ず実施されていた。それを2回目以降であっても繰り返し実践することで,メタ認知することやメタ認知したことを表現することが苦手な児童であっても,自身の思考がどのようなものかを理解し,表現しやすくなるはずである。 (2)選択活用期における振り返り 習得期に行った振り返りは,オフライン・メタ
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