図3-11 F児のくらげチャート F児が使っている思考ツールはくらげチャートであり,ある主張に対する理由を考える「理由付け」という思考スキルを促すものである。F児は「プログラミングはきけんでもあり良いところがあるものだ(原文ママ)」という結論が先にあったようだ。なぜくらげチャートを使ったのかを問うと,思いついた理由をどんどん付け足して説得力を増やせるから,とのことであった。理由付けるという思考スキルはプログラミング的思考ではないのだが,児童が意図に合わせて思考スキルを選択していることがわかる。 図3-12 G児のピラミッドチャート G児はピラミッドチャートを使って,情報を整理していた。下段に集めた情報を書き,そこから焦点化した情報を中段に上げている。上段に書かれた主張は「プログラミングは便利だが,AIだらけになって人間が働いたり活やくすることが少なくなることもある(原文ママ)」であった。なぜピラミッドチャートを使ったのかを問うと,いろいろ意見を出してみて,その中から一つに絞れる,最後は一番いい意見が選ばれるから,とのことであった。明確な意図をもって,その意図に合った思考ツールを選択していることがわかる。 表3-3 総合的な学習の時間「未来を拓く」単元の流れ 20 ことができたようであった。そして,ビジュアルプログラミングソフトScratchを使ってプログラミング体験をしたり,プログラミングに関わる企業の専門家や情報教育に関わる人から話を聞いたりすることで,プログラミングと社会や未来との関わりを考えていく。 表3-3の★①は,プログラミングについて見たり聞いたり体験したりしてわかったことを整理する活動である。指導者からは,「プログラミングとは~だ」という言い方で,プログラミングについて自身の主張をまとめるようめあてが提示された。さらに,まとめる方法は自由であることが伝えられ,思考ツールを使いたい人は使うようにと,思考ツールが印刷された紙が4種類と白紙が用意された。つまり,問題解決のためにどのように考えるかの選択を児童に委ねたのである。児童がどのように考えて情報を整理して結論を導いたのか,例を図3-11,図3-12に示す。 小学校 プログラミング教育 16
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