図3-10 E児のピラミッドチャート 一方E児は,話をしてくれた人たちが共通して,「助けてくれたらうれしい」と話していたことや,誰しも目が見えなくなる可能性があることなどに注目し,誰もが助け合う町にしたいと考えていた。集めた情報をもとに問題解決の方向性を決める,正に問題解決力につながる活動であったと考える。 ②総合的な学習の時間での選択活用 後期総合的な学習の時間「未来を拓く」(20)では,どの思考スキルを使うかを児童に委ねた。プログラミング的思考やその他の思考スキルが転移しているか,これまで蓄積してきた実践の成果が問われた単元である。単元構想の概略を次ページの表3-3に示す(19)。 プログラミングを教材としながら,これからの社会において重要となる情報技術の功罪を知り,自分たちの生き方やこれからの社会の在り方を考えていく単元である。 図3-8 班のテーマを決めるピラミッドチャート 図3-9 D児のピラミッドチャート 一つの例を図3-8に示す。 この班の児童は,それぞれ, ・学校にいる生き物 ・昆虫の飼育を観察してわかったこと ・歴史の人物で人気のある人物 を新聞で伝えたいと考えていた(下段)。そして話し合いを通して,自分たちがそれらを伝えることで, ・クラスのみんなの知識が増える。 ・学習につながる。 ・自分たちもいろいろ調べることができる。 と気付いた(中段)。 そこで,自分たちの新聞は知識の芽生えになると考え,テーマを「めばえ」としている(上段)。 このように,抽象化していくことで上手く合意形成に至ったチームもあったのだが,個々の新聞で伝えたいことの方向性が異なりすぎて,例えば「4年新聞」や「夏新聞」のように,話し合わないでも出るようなテーマになってしまい,達成感を感じられない班もあった。 続いて,総合的な学習の時間「やさしいまち」(19)においても,抽象化の思考の習得を目指した。 児童は,地域に住んでいる障がいのある方の話を聞いたり,校区探検をして自分たちの町がいろいろな人たちにとって優しいかを探ったりしたことによって,多くの情報を手に入れていた。そういった情報をもとにして,自分たちの町をどのような町にしていけばよいか,自分なりの主張を導く場面でピラミッドチャート使用した。D児およびE児のピラミッドチャートを図3-9,図3-10に示す。 D児は,障がいのある方の「信号を渡るときが一番怖い」という話や実際に見た町の坂が急である状況に注目し,住んでいて安心できる町にしたいと考えている。 小学校 プログラミング教育 15 児童はまず,身の回りにある機械の便利さを改めて考え,その便利さはプログラミング技術によって成立していることを知る。その際,ステップチャートを用いて機械に組み込まれているプログラムを予想し,分岐や繰り返しのよさにも気付く19
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