図3-3 暗算の手順の比較 図3-4 夏を感じた経験を分解したXチャート(A児) 16 写真では判別しづらいかもしれないが,先の2種類の要素とは異なる色のカードを使っている。これは,指導者が決めたのではなく,「動きが違うから色を変えたい」と児童が要望したからである。 筆算の手順を考える活動を通して必要に応じて要素を付け足していくことで,あるときにはA,そうでないときはBをするといった分岐の思考の表現につながる活動になっていた。 同様に順序立てる思考スキルを習得することを目指し,算数科「たし算とひき算」を行った。 例えば35+27のような2桁で繰り上がりのあるたし算の暗算をする場合,35を30と5,27を20と7に分け,5+7=12,30+20=50,50+12=62と計算する方法がある。あるいは,足す数である27のみを20と7にわけて,35+20=55,55+7=62とする方法もある。 それらをステップチャートのようにカードを並べて図式化することで,手順の比較をすることができた。比較した際の板書を図3-3に示す。 この単元では,児童が自身の力で問題をどう解くかを考える自力解決の時間において,指導者からは「説明しよう」というめあてが示されており,「ステップチャートを使う」という指示はなされていない。それでも,学級人数35人中28人がステップチャートを用いてノートに説明を書いており,その手順は全員正しかった。昨年度からの積み上げもあり,児童はステップチャートの扱いに慣れ,動きを分解し順序立てるという思考スキルを習得していたと考えられる。 ②分解の習得 国語科「きせつの言葉2 夏のくらし」では,身の周りで見つけた夏を感じるものについて書くことを通して,語句の量を増やし実際に使うことや,経験したことから書く情報を選ぶことが大切小学校 プログラミング教育 12 である。 経験したことから書く情報を選ぶ際には,そもそもどのような情報を経験から取り出せばいいのかが児童にとっての課題になる。例えば,5W1Hのような視点を児童に与える支援が考えられる。他にも,音やにおい,自分の感想,動きといった視点があることで,より夏を感じさせることのできる文を児童が書きやすくなるであろう。つまり,自分の経験を様々な視点からとらえ,細かい要素に分解する必要がある。そこで,第2章第1節(p.7)に示したように,Xチャートを使い児童に分解の思考を促すことにした。図3-4と図3-5は児童が書いたXチャートとそのチャートを生かした文である。 A児は,アイスを食べた経験を音・味・感じたこと(A児は出来事と表記している)・色に分解してとらえていることがわかる。B児は,扇風機に当たった経験を音・感じ方・動きに分解してとらえていることがわかる。さらにB児は,分解した情報に順番を付けて書く順序を考えていたようである。 図3-5 夏を感じた経験を分解したXチャート(B児) 両者のワークシートを見ると,分解された情報を生かして文章を構成していることが見て取れる。 このように思考ツールを使って自身の経験を小さ
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