602_R4「教育研究の方向性」最終稿【総論】
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〇教科等固有の見方・考え方を働かせて自分の頭で考えて表現する力 〇対話や協働を通じて知識やアイディアを共有し新しい解や納得解を生み出す力 〇困難を乗り越え、ものごとを成し遂げる力 〇文章の意味を正確に理解する読解力 など (筆者により抜粋) これらの資質・能力は多様な他者と協働しながら、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、様々な社会的な変化を乗り越え、持続可能な社会の創り手となるために必要なものだとされており、子どもたちがよりよい人生を実現していくために身に付けておくべき資質・能力である(5)。 令和4年度 教育研究の方向性 ~令和の日本型学校教育の実現を目指して~ 2 (1)我が国の学校教育における課題 情報化の加速度的な進展や人口減少、産業のグローバル化といった社会構造の変化は人々の生活そのものを大きく変え、その影響は対象や分野を限定することなく、我々の想像を大きく超えて広がっている。中央教育審議会によって取りまとめられた答申「令和の日本型学校教育を目指して」には、このような予測困難な現代社会において学校教育が直面している課題が以下のように示されている(1)。 ・子どもたちの多様化 ・生徒の学習意欲の低下 ・教師の長時間勤務による疲弊 ・情報化の加速度的な進展に関する対応の遅れ ・少子高齢化、人口減少の影響 ・新型コロナウィルス感染症の感染拡大により浮き彫りとなった課題 上記の課題は社会の劇的な変化に伴い急速に学校現場に表出しており、現場の教職員は日々の業務と並行しながら、これら多くの課題と向き合い、限られた時間や方法、人的資源の制約の中で最大限の指導を行っている。 とりわけ学校現場では、子どもの発達や学習を取り巻く個別の教育的ニーズを把握し、一人一人の可能性を伸ばしていくことが課題となっている(2)。家庭の社会経済的な背景や、障害の状態や特性及び心身の発達段階、学習や生活の基盤となる日本語の能力、一人一人のキャリア形成など、個々の児童生徒の状況に応じて適切な支援や指導を行うことは非常に困難なことである。 平成28年答申においては、子ども一人一人の発達を支え、資質・能力を育成するという観点から、各学校が行う進路指導や生徒指導、学習指導等についてもその意義を捉え直し、充実を図っていくことが必要であるとされている(3)。これまで行われてきた指導のよさを生かしつつ、「個に応じた指導」を一層充実させ、多様な児童生徒を適切に指導していくことが求められている。 このような教育課題が山積する一方で、次代を切り拓く子どもたちに求められる資質・能力として、中央教育審議会は以下の内容を挙げている(4)。 このような現在の教育上の課題に適切に対応しつつ、これからの時代に必要な資質・能力を確実に育成するためには学習指導要領に基づいた指導と教育活動の充実が急務であろう。また、そのためには学習指導要領の趣旨を理解し、学校組織や地域社会ともつながりながら、教育の目標・目的を実現することができる教職員の指導力の向上や人材の確保が必要となる。さらに、1970年代の第2次ベビーブームへの対応で大量採用された教職員の多くが定年退職を迎えており、多くの若い人材が採用されている。経験豊かなベテラン教職員の知識や技能、経験を若手教職員に継承する体制をつくることも喫緊の教育課題だといえる。 (2)本市の学校教育における課題 京都市教育委員会が策定している「令和4年度学校教育の重点」(6)に示されている学校園づくりの五つの柱の中には、「多様な子どもを誰一人取り残さない教育を進める」とある。その内容は、すべての子

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