(1)様々な学習方法や柔軟な学習時間の提供・設定 ○様々な学習方法の提供 ・様々な学習方法や柔軟な学習時間の提供・設定 ・一人一人に応じた学習課題の提供(学習の個性化での問題発見・解決プロセス内) 「全体での問題発見・解決プロセス」と「学習の個性化での問題発見・解決プロセス」の両方で、子ども自身が自己選択・決定するものを次の3点に整理する。 ・もの「学習道具」 子どもが自己選択・決定する「学習道具」とは、教科書やノート、GIGA端末、ヒントカードなどである。例えば、課題把握後、自力解決に向かう際にどのように考えればよいかわからない子どもたちがいるだろう。その場合、子どもの判断でノートやGIGA端末の考え方ボックスなどを使い、前時の授業や前学年の学習を想起して活用し、解決の見通しを見つけることができる。また、子どもたちが自分の考えを伝え合う学び合い(図1-3(p.3)参照)の中でも学習道具を自己選択・決定できることで学びを深めることにつながるだろう。例えば、計算式だけでなくGIGA端末の表計算ソフトを使ってグラフに表すことで、自分の考えを相手にわかりやすく伝えようとしたり、友だちと考えを伝え合った後に教科書を使用することで、理解した内容を確かめたりすることなどが考えられる。必要に応じて指導者が学習道具を指定する場合もあるが、基本的に子どもの判断で学習道具を自己選択・決定し、学びを進めていけるようにする。 ・人「学習形態」 ・もの「学習道具」 ・人「学習形態」 ・場所「学習する場所」 子どもが自己選択・決定する「学習形態」とは、一人学び、二人学びなどである。例えば、全体での問題発見・解決プロセスでは次のようなことが考えられる。問題を解き終えた後に、自分の考え方は本当に正しいのかと問題の数値を変え、もう一度一人で問題を解き直してみたり、自分の答えは合っているのか、もっと速く簡単で正確にできる解き方はないのかと、友だちと二人で考えを伝え合ったりすることなどである。ただ、子どもによっては、授業の最後まで一人で学習することを自己選択・決定するケースもあるだろう。しかし学びは、他者との関わりの中でより深まっていくものである。そこで本研究では、問題を解いた結果や考え方をGIGA端末の共有フォルダに提出するようにし、いつでもどこでも、自分の考えと友だちの考えを比較できるようにする。子どもが自己選択・決定した学び方を尊重しながらも、「協働的な学び」が生まれるように、互いの考えを交流できるきっかけを設けたり、追発問を工夫することで話し合いを促したりすることが必要である。 ・場所「学習する場所」 子どもが自己選択・決定する「学習する場所」とは、自分の席、教室の後ろ、学校のオープンスペースなどである。「学習する場所」の一例を図2-1に挙げる。例えば、教室の後ろに学び合いスペースを設定したとする。自力解決を終えた子どもや、一人学びでどうしてもわからない子どもが、この学び合いスペースに行き、考えを伝え合ったり、友だちに教えてもらったりすることが考えられる。個別支援を要する子どもは、ミニ教室スペースに行き、指導者のヒントやアドバイスをもらい学習を進める。他にも、「学習の個性化での問題発見・解決プロセス」で、学習した図形を見つけたり、実際の長さを測り面積を求めたりする学習課題を選択小・中学校 教科指導(算数科・数学科) 6 図2-1 「学習する場所」の例 40
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