616_R4「個別最適な学び」と「協働的な学び」最終稿【椙村・寺井】
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学級には、計算が得意な児童やゆっくりと時間をかければ解決できる児童など多様な児童が在籍している。しかし、指導者が時間によって一斉に学習活動を区切る授業デザインでは、あともう少しで解にたどり着けそうであっても時間を区切る指示によって思考を中断されたり、教室の全員に向けて説明する人数に限りがあるので考えを説明したくても大半の時間を聞くだけに終始してしまったりする児童が多くいる。 (2)1年次の研究内容と成果 った、問題発見のプロセスへとスパイラルする学習過程である。この実現のためには、子ども自らが問題を発見し学びを深めていく、いわば「学習の個性化」を図った授業も取り入れた柔軟な学習過程を設計することが求められている。 「学習の個性化」を図った授業では、単元等で養われた数学的な見方・考え方を働かせ、子ども一人一人が学習課題を発見し問題を解決することとなる。そのため、発見した学習課題は子どもによって異なり、全員が同じ問題解決のプロセスをたどるわけではない。そこで本研究では、クラス全体で同じ学習課題に取り組み解決していくプロセスを「全体での問題発見・解決プロセス」とし、そこでの学びを生かし一人一人が学習課題を発見し解決していくプロセスを「学習の個性化での問題発見・解決プロセス」とする。 「学習の個性化での問題発見・解決プロセス」を取り入れた授業を設計していくためには、「全体での問題発見・解決プロセス」において、数学的な見方・考え方を働かせ、単元で身に付けるべき課題解決に必要な基礎的な力が身に付いていなければならない。しかし、依然として、計算の仕方等の知識や技能に比べ、求め方や理由を記述すること、グラフ等の資料から傾向を読み取り、判断の理由を数学的な表現を用いて説明することなど、「思考力、判断力、表現力等」の資質・能力に課題があることが指摘されている(6)(7)。そこで昨年度は、「全体での問題発見・解決プロセス」において「思考力、判断力、表現力等」の力を育むことに焦点をあて、算数科・数学科における「個別最適な学び」と「協働的な学び」となる授業について提案した。 ○小学校算数科 図1-3 昨年度提案した授業デザイン 図1-2 算数・数学の学習過程のイメージ 小・中学校 教科指導(算数科・数学科) 3 そこで小学校算数科では、1時間の中で自力解決と集団解決の学習活動を一斉に時間によって区切らない授業デザインと、児童が学習方法を自己選択できる授業を実践した(図1-3)。この授業デザインでは解決できるまでじっくり考えたり、他者を待たずに自力解決し終えた児童同士でどのように考えたのか説明し合う学び合いの活動に移ったりすることができるのである。また、算数科における「思考力、判断力、表現力等」を高めるために、「考えを図式化すること」「考えを簡潔に順序立てて書くこと」「考えを伝え合うこと」の三つの数学的活動を設定し、その順序や学習方法を児童に委ねた。37

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