うである。 小学校・中学校共に、学習方法や学習課題が選択できることによって、全学力層の子どもたちが、算数科・数学科としての資質・能力を高めることができたと感じていることがわかる。他にも、 小・中学校 教科指導(算数科・数学科) 32 66 図4-7 アンケート結果⑦ 図4-8 アンケート結果⑧ 第2節 指導者への聞き取りから ○「個別最適な学び」「協働的な学び」となる授業への期待 研究協力員に、学習方法や学習課題を選択できる授業実践を通した「子どもの変容」について聞き取りを行った。聞き取った内容を図4-8にまとめる。 児童ソ:比の学習で、図工の学習で使うことができることが分かった。 色を〇:〇とメモしておくと何回でも同じ色を作ることができる。(小6) 生徒タ:陸上の目標タイムを導くのに、一周の長さが変わっても、比例式を使うことで簡単に求められた。(中3) 児童チ:面積の学習で生かせそうと思ったところは1aや1haや一平方キロメートルを使い分けて畑や農園の面積を求め、畑でとれる野菜の量などを求めるときに役立ちそうだと思った。(小4) 児童ツ:会社員になったときにプレゼンするとして、折れ線グラフや棒グラフ、表などを使ったらうまくプレゼンできそうだなと思いました。(小6) 生徒テ:相似な図形の学習の建物の高さが同じぐらいに見えるかの解き方を使って(考えると)、どれぐらいの高さの建物を建てればいいかを考えるのに役立つと思いました(中3) 児童ト:自分の将来の夢にいかせると思った。宇宙に関係のある仕事をしたい。小数のかけ算の筆算や面積など星までの距離や大きさを求めるときに生かせるのではないかと思った。(小4) 生徒ナ:二次関数のグラフが放物線を描いていることがわかった。それを生かすことで、ゲーム内やバーチャル空間内のボールなどの物理演算の一部を作れると思った。(中3) 太字:学習したこと 下線:日常や社会の場面で数学的な見方・考え方を働かせている(生かせる)と考えられる記述 【子どもの変容】 ○小学校 ・算数が苦手な子も、学習方法を自己選択できることで、自分なりに何かの方法で解決しようとするようになってきている。 ・学習方法や学習課題を選択できる楽しさがあり、学力層の高い子どもらも考えたり説明したりする力が高まったと感じる。 ・友だちとしゃべる機会が増えたので、考えを伝え合う中で、自分の考えと相手の考えのいろいろな相違点を見つけることができていたので、考えの広がりにつながっていた。 ・子どもが自分たちで答え合わせをしたり、わからない友だちに教えたりする中で、自分の考えをわかりやすく伝えようとする意識が高まっていた。また、GIGA端末で自分の考えが友だちに見られるので、相手意識が高まり、図を使ったり、言葉を短くまとめたりする子どもが増えた。考えを図示したり、順序立ててわかりやすく説明したりする力がついてきていると思う。 ・同じ発展課題に取り組んでいても、一人一人のアイディアがあるので答えは違った。互いの考えに興味があり、どんな考え方をしたのか話し合う中で、「答えが違っても考え方は一緒だね」と発展課題であっても統合的に考えようとする姿が見られた。 ○中学校 ・生徒それぞれが自分に適した課題を選ぶことで二人学びやグループ学びで考えを伝え合って進めていた。 ・解が一つに定まらない問いや考え方が複数出てくる問いが多かったので、解を出した後で適切かどうかを吟味する必要があった。日常で出会う問いには正解はなく、自分で求めた解を吟味する生徒の姿も見られたのでよかったのではないか。 ・以前は自分の考え方をかき表すことができずに、友だちの考えを聞いて写すだけになっている生徒もいた。自分の考えをかき表したり、伝えたりする力がついてきていると感じる。 ・協働をする場面では図や表、グラフなど根拠をもとに説明する姿が多く見られるようになってきた。 ・どの生徒も一人で考えることができる、そしてその後で協働することで学びが深まった。 太字:学習方法・学習課題の選択の効果を示す表現 下線:算数科・数学科としての力が高まったと受け取れる表現
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