第1節 子どもへのアンケートと聞き取りから (1)様々な学習方法や柔軟な学習時間による子どもの変容 ①自分に適した学習方法の獲得 小・中学校 教科指導(算数科・数学科) 28 第4章 研究の成果と課題 図3-31 児童Mの振り返りシート(前単元「体積」) 図4-1 アンケート結果① 62 きたからであるといえるだろう。図3-31に示すのは、本実践の前単元で行った「体積」での、児童Mの振り返りである。第2時(2段目)以降が児童たちで学習を進めていく単元全体課題選択学習である。第2時には、学習計画どおりに進まなかった理由は、分からないことを一人で考え続けていたからと分析していることが読み取れる。そこで第3時や第4時では、友だちに聞いたり、教科書を使ったりするなど、学習方法を変えている。学習を自己調整しながら、自分に適した学び方を学ぶことができているといえるだろう。また指導者も、児童の振り返りを読み取ることで、児童一人一人への支援方法やそのタイミングなど、個に応じた指導の仕方がわかってきたという。あの「比例と反比例」の授業で大人数で学習していた児童をあえてその場で指導をしなかったのは、それまでの児童の振り返りを読み取る中で、自分に適した学び方を学びとれる力があることと、残された時間内で学習すべき内容を理解することができると、指導者が判断したからなのであった。 「個別最適な学び」となる授業にしていくには、児童が毎時間の学び方を振り返ることが大切である。それと同時に、指導者も児童の様子や振り返りから、一人一人の適切な支援の仕方を調整していくことが重要である。 実践前と実践後で、「自分に合った学び方はありますか」という内容で自由記述のアンケートを行った。図4-1に示すのは、自分に合った学び方について記述があった場合を「ある」とし、無記入もしくはないと回答した場合を「ない」としてカウントしたアンケート結果である。各項目は、小学校・中学校どちらも実践を行った全学年の合計値である。実践前は、自分に合った学習の仕方が「ある」と回答した子どもは、小学校・中学校どちらにおいても40%~50%台であった。しかし、実践後には80%以上の子どもが自分に合った学習の仕方が「ある」と回答している。実践前と比較して、より多くの子どもたちが自分に適した学び方を学びとることができていると読み取れる。
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