○単元全体課題選択学習 ~6年生「比例と反比例」(全18時間)~ 【単元について】 小・中学校 教科指導(算数科・数学科) 22 56 図3-18 児童Aが設計した図面 児童C:発展課題1では、㎠にすると(㎝で計算すると)すごい(大きな)数になったものもあるので、単位を考えながら求めようと思った。 児童A:発展課題3では、縦×横や一辺×一辺の考え方を使って面積を求めることができた。自由に設計できるのが楽しかった。 児童D:発展課題3で、要望に応えていたら変な形になった。そのときにL字型の考えを使って求めることができた。 児童E:長方形や正方形の形の面積を求めることができるようになった。三角形や台形などの面積も求めてみたいと 思った。 児童F:発展2で、建物とかを設計するときに学習したことが生かせると思った。 図3-19 単元の児童の振り返り 自分の考えを説明しながら設計図を見せたところ、お風呂や手洗い場がないことを指摘された(前ページ図3-17)。児童Aは自分の考えを形にできることが楽しかったのか、指摘されても前向きにもう一度図面をかき直していた。最後には、図3-18のように、各部屋を長方形に見立てたり、廊下の部分をいくつかの長方形に切り分けて考えたりするなど、全体での問題発見・解決プロセスでの学びを生かして面積を求めることができていた。 発展課題②を選択した児童も、外敵が侵入しづらいような形にしたり、お殿様が過ごしやすい形にしたりするなど、発想を豊かに様々な形で設計し、学習した考え方を生かして面積を求めることができていた。 また、児童Eや児童Fは、より発展的に考えたり、社会生活の中で学びを生かしたりしていきたいという考えをもつこともできていた。 本単元は、伴って変わる二つの数量を見いだし、比例や反比例の性質を理解し、目的に応じて表や式、グラフを用いて問題を解決できるようにすることを主なねらいとしている。単元全体課題選択学習では、単に答えを導く課題だけでなく、表やグラフを使用したり、グラフの目盛りの幅を考えたりする課題も取り入れ、単元で身に付けさせるべき力を育めるようにした。研究を進める中で、新しい知識や技能を獲得する場面では、指導者が教える一斉授業を行った方が児童の理解が深まることがわかった。本実践では、比例や反比例の関係や性質、表やグラフのかき表し方について新たに学ぶ場面は一斉授業を行い、それ以外の場面は課題選択学習を取り入れた。 本時の終末に、発展課題の内容も含めて単元を通してどのようなことを学ぶことができたのか振り返った(図3-19)。 児童Cは、様々な場所で実際に測る活動を通して適切な単位で表すことのよさを学んだり、児童Aや児童Dはオーセンティックな学習課題の中で数学的な見方・考え方を働かせ、学びを生かすことができたりしていた。これは、2時間をひとまとまりにした学習時間を設定したことにより、活動したり考えたりする時間を十分に確保したことによる成果だともいえるだろう。
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