616_R4「個別最適な学び」と「協働的な学び」最終稿【椙村・寺井】
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小・中学校 教科指導(算数科・数学科) 14 図3-8 生徒Dの考え 図3-6 考えを伝え合う様子 48 図3-7 生徒Cの考え(GIGA端末) の考え方が正しいか確認するために席を立ち、生徒Dの席まで移動して(図3-6)下記のようなやり取りを行った。 生徒C「この場合、aの値で考えられるのは1と2の二つやんな?」 生徒D「aが整数とかいてあるし、グラフが下向きの場合も考えられるよ」 生徒C「これ(グラフ)は関係ないってこと?」 生徒D「(グラフの)形が一応与えられているだけ」 生徒C「このグラフは考えるための参考の図ということか」 生徒Cは問題にかかれたグラフの場合についてのみを考えていたが、生徒Dの考えを聞くことによって問題に適したグラフは他にも考えられることに気付いたようである。生徒Cはこの考えをもとに自分の考え(図3-7)をまとめて提出した。生徒Dは当てはまる場合を表にかいて考えていた(図3-8)。 振り返りには次のような記述があった。 生徒C:友だちの意見を聞いて、「負の数」の場合について自分の考えをさらに深めることができた。友だちに自分の考えを説明する際に、問題文をもとに、一つ一つ順序立てて言うことで、自分の思考の流れをつかむことができた。 生徒D:友だちの説明を聞いたことで、より形式的な考え方を知ることができた。 生徒Cは生徒Dと考えを伝え合うことで、自分の考え方に足りなかった部分に気付いたようである。また、生徒Dは解となる組み合わせを数え上げたが、生徒Cの考え方から一般的に考える方法を知ることができたようである。この時間の他の生徒の振り返りには、 ・説明の順序や、よりわかりやすくするために提示しながら伝える方法をお互いで教えられた ・友だちの考え方を聞くと、「こんな解き方もあるのか」という新しい発見もできた という記述があり、学習方法を選択して学び進めることで、学びが深まったり、広がったりしたことがうかがえる。 このように、昨年度から「思考過程の見える化」をすること、すなわち自分の考えをかき表したり説明したりする数学的活動を通して、協働的に学びを深めることができる子どもたちに育っていることを出発点として、日々の授業の一部の時間(授業の前半か後半の20分~30分)に生徒が学習方法を選択して学び進める時間を設定したところ初めは、【第3時】の実践にあるように指導者の働きかけがあって生

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