【第10時/全16時間】 小・中学校 教科指導(算数科・数学科) 13 図3-5 第10時の「今日の課題」 図3-3 生徒Bの考え 図3-4 指導者の指示による学び合い そこで、開始から10分後に指導者が「そろそろ、自分の考えをかけた人もいると思うので、周りの人と確認してみようか。もし、隣の人がまだ解いている途中だったら、席を離れて交流してもいいよ」と働きかけたことで、徐々に周りの生徒と考えを伝え合ったり、確認したりする姿が見られるようになった(図3-4)。生徒Aと生徒Bは自分の考えを伝え合い、授業終末には相手の考えを書き加えたノートをGIGA端末で提出した。二人学びをすることによって自分になかった視点を得ることができたようである。 「今日の課題」(図3-1)の(1)(2)は全員が正解となる解を導き出すことができていたが、(3)はxの範囲が整数であるとは限らないため、生徒Aの考え方が解としての条件を満たしている。しかし、生徒Bが最初に考えたようにxの値が整数の場合のみを考えていたり、考え方の記述が不十分だったりした生徒が他にいた。そのため指導者は、全員が提出したノートをGIGA端末の機能を使って、次時の授業の冒頭で全体で数の範囲を拡張した考え方を共有した。 この時間の生徒の振り返りには「教科書やロイロ※から学んだ」「多くの人から考えを聞いたことで、自分の考えについて見直すことができた」という記述があり、教科書やGIGA端末などを活用したり、一人で考えるだけではなく友だちと考えを伝え合ったりしていた。学習方法を選択して学ぶことで自分とは異なる視点で考えたり、自分の考えについて見直したりすることができ、理解につながったことがうかがえる。このことから生徒が学習方法を自己選択・決定する時間を繰り返し設定していくことが大切であると感じた。 図3-5は第10時の授業前半に取り組んだ「今日の課題」である。この時間は〔「今日の課題」(20分程度)→知識や技能を確認する練習問題→まとめ、振り返り〕という展開で授業を行った。前時までに、関数y=ax²の表から式をつくることや式から表をかくこと、表からグラフをかくこと、比例定数aが変わったときのグラフの特徴について学んだ。そこで「今日の課題」は比例定数について考えを広げることができる学習課題とした。 y=ax²の式で表されるグラフについて考える。 原点O、グラフ上の点A、Aからx軸、y軸上への垂線と x軸、y軸との交点をそれぞれB、Cとする。 a、xが整数であり、長方形OBACの周の長さが42で あるとき、a、x、yの値はどのように考えられるか、 理由も考えて説明しましょう。 生徒は開始後すぐに教科書やGIGA端末を見直しながら学び始め、5分後には席を移動して友だちとどのように考えたのか話し合う姿が見られた。また、一人で考えてもどのように解決するかがわからないため、友だちに考え方を聞いて取り組む生徒もいた。授業の一部(20分程度)で学習方法を選択する時間を設定して学び進めることを繰り返し行ってきたために、この時間は指導者が改めて指示を出さなくても、生徒自身が自分のタイミングで一人学びや学び合いを行っていた。 生徒Cは問題にかかれているグラフを見てaの値は正の整数であると考えたようである。そして、自分※「ロイロノート」本市で使用している授業支援ソフト 47
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