616_R4「個別最適な学び」と「協働的な学び」最終稿【椙村・寺井】
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小・中学校 教科指導(算数科・数学科) 10 ①単元末課題選択学習(2~3時間) 単元末課題選択学習の授業デザインは、「学習の個性化での問題発見・解決プロセス」を単元末に2~3時間程度設定し、児童が自分の到達度や興味・関心に応じて学習課題を選択し学習を進めるものである。学習課題は、学力層に応じた複数のオーセンティックな学習課題を提供する。児童は学習課題を選択し、2~3時間の中で学習を調整しながら学び進めていく。 児童に委ねる時間を2~3時間にすることで、例えば運動場や体育館などで行うような長時間を要する学習課題も設定することができ、日常や社会で働く数学的な見方・考え方をより伸ばすことができると考える。ここでのオーセンティックな学習課題とは、「全体での問題発見・解決プロセス」(図2-6:単元の1時間目から3時間目)で育んだ数学的な見方・考え方を働かせ、知識や技能などを生かす必要があるものにする。 ②単元全体課題選択学習 単元全体課題選択学習の授業デザインは、指導者によって提示された問題や学習課題をどの順序で学習し、どれぐらいの時間をかけるのか一人一人が学習計画を立て、単元を通して自分に合ったペースで学習を進めていくものである。つまり、児童に委ねる時間を単元全体に伸ばしたものである。 この授業デザインでは、次の二つを単元の導入で児童に提示する。 ・取り組む問題や学習課題(オーセンティックな学習課題を含む) 学習の意欲を高める。自分の学習到達度や理解度を振り返り、取り組む問題や学習課題、学習ペースを考えるようにする。 ・単元計画表(単元目標を含む) 何を学ぶ単元であるのか、何ができるようになればよいのか、学習課題や学習活動の意図・意味を見いだせるようにする。 問題や学習課題は、主に教科書の問題と、オーセンティックな学習課題である。ただし、教科書には考え方や答えが書いてあることが多いため、問題や学習の手順のみを書いた学習プリントを作成し提示することとする。具体については第3章で述べる。また、単元計画は、本市の京都市小学校教育課程指導計画「京都市スタンダード」や教科書の指導書をもとに作成することができる。 単元の導入では、オーセンティックな学習課題を紹介することで児童の学習意欲を高めたり、単元計画からこの単元で何を学ぶ必要があるのかを確かめたりする。子どもたちは、提示された問題や学習課題、単元計画を見ながら、いつ、どの問題、どの学習課題に取り組むのか自分の学習計画を立て、単元を通して学習方法を自己選択・決定しながら学習を進める。基本的には、提示された単元計画に沿って教科書の問題を順に解いていくことになるだろうが、児童によっては自分の解きやすい学習課題から取り組む場合もあるだろう(図2-7)。また、オーセンティックな学習課題に取り組む前に、単元で身に付けるべき力が付いているのかを確認する確認問題を必ず一人で取り組むようにする。指導者は、提出された答案をチェックし、間違いがあったり、説明が不十分であったりした場合は、再度別の問題に取り組むよう促す。そして、GIGA端末の共有機能等を活用しながら一人一人の進捗状況を確認し、単元の目標が達成できるように、個に応じた指導を行っていく。 この授業デザインによって、1時間に1問ずつ学習課題を解決したり、1時間の中で二つの学習課題図2-6 単元末課題選択学習の例 図2-7 単元全体課題選択学習の例 44

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