618_R4「OJT」最終稿【大上】
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アンケートの最後に設けた「OJTの推進についてご意見があればお書きください」という自由記述の中に、「教職員の人数や年齢構成等の理由から、校内だけでOJTを推進していくことに限界を感じる」という回答があった。人員不足や時間不足、各校での研修と校外での研修との関わりの希薄さなどが見られる現状から、総合教育センターでの研修や主事相談会を校内研修会と関連付けて活用していくことが有効であると考える。そのためには、学校長や校内のファシリテーターが、総合教育センターでどのような研修が行われているか、自校でどのように活用できるかを考え、OJTとOff-JTをうまく関連付けることが必要である。 まず、Research段階では、筆者が考えるOJTを有効に機能させる三つの要素をもとに、現在の学校組織の様子やOJTに関する取組について学校長や取組の核となる教職員と分析を行う。そして、校内研修のもち方、教科会や学年会の充実、体制の見直し等、どこに重点をおいて取り組むのかを検討する。その後、全教職員で自校の課題を共有した上で、具体的な取組を計画する(Plan)。具体的な取組内容については、自校の課題によって変わってくるので、課題を受けて検討していく必要がある。この具体的な取組内容と方法は、学校運営においても、研究においても重要になるので、筆者も一緒に検討したいと考える。一つ一つの取組については、年度末だけでなく、定期的に振り返り(Check)、必要に応じて取組の修正、改善を行いながら実践(Action)を進めることが大切である。その際も、できる限り関わり、よりよい取組になるように進めていきたい。 検証については、OJTに積極的に取り組みたい、あるいは既に取り組んでいるが更に推進していきたいという学校で行いたい。そして、実践を通してうまくいったことや、いかなかったことなどから、OJTを有効に機能させるための要素や具体的な取組を精選し、まとめたい。 第3節 今後の展望 また、総合教育センターでの研修以外に、学校間で連携を図るという方法もある。実際に、小規模校が近隣の学校とオンラインでつなぎ、合同で研修を行っている例や、同じ中学校ブロックの教職員が集まって合同研修会を行っている例もある。このように、OJTとOff-JTをうまく関連付けることで、校内のOJTをより有効に機能させることができ、教職員の学びを充実させることにもつながると考える。さらに、学校間で連携を図ることによる利点は他にもある。アンケートの「困りの解決方法」についての質問(p.8、表2-4)で「他校の教職員に相談する」との回答が採用2・3年目教員では48.5%で半数以下であった。まだ教員経験年数が少ない上に、新型コロナウイルスの流行による集合研修の機会の減少で、採用2・3年目の教員は、他校の教職員と交流する機会がこれまであまりなかった。学校間で連携を図り、一緒に研修を行うことは、他校の教職員とのつながりをもつという点でも有効であると考える。 今後、研究協力校での検証を通して、各校で独自に行われている取組をできるだけ汎用化したり、OJTが有効に機能する要素を明示したりすることで「少し工夫すれば、今取り組んでいることが、より効果的な取組になる」「これなら自校でもやっていけそうだ」と感じてもらえるようにしたい。そして、どこの学校でも、異動等で校内体制が変わったとしても続けていくことができる、効果的で効率的なOJTの在り方を提案したいと考える。 おわりに 取材の際、教職員の関係づくりについて尋ねたところ、ある先生が「学級経営と同じです」と話されていたことがとても印象に残っている。その学校では、校長先生が担任で、職員室が一つのクラスのようになっていると感じるそうである。校長先生自身も、職員室が教職員にとって居心地のよい場所になるように心がけているとのことであった。筆者自身も研究をしながら、学校組織をつくる上で大切なことは、学級づくりで大切にしていることと似ていると何度も感じた。例えば、 ・みんなでつくる ・互いに共感し、認め合う ・一人の学びからみんなの学びへつなげる 小・中 日常的なOJT 19 125

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