次年度は、研究を通して見えてきたOJTを有効に機能させる三つの要素や具体的な取組について、実践を通して検証したいと考えている。研究協力校で実践するにあたっては、図4-2のようなR-PDCAサイクルを踏まえて進めたいと考えている。 図 4-2 R-PDCAサイクルのイメージ 124 かったりする原因の一つではないかと思われる。しかしながら、個々の捉え方が間違っているというわけではなく、OJTとはそういうものなのだと研究を通して考えるようになった。そして、OJTという言葉にとらわれず、教職員同士の学び合いを各校で効果的に進めるためにはどうすればよいかを考え、見いだしたのが、第3章で述べたOJTを有効に機能させる三つの要素である。この三つの要素をベースに、各校の実態に応じて取組を進めていくことで、OJTを活性化させることができるのではないかと考える。 学校の規模や教職員の人数、年齢構成など各校の実態に応じて、知識や技能、取組の伝承方法、教職員同士の学び合いの効果的な方法は一通りではない。第3章で紹介した取組の中には、以前から自校で取り組んでいることと同じようなものもあるだろうし、初めて聞くようなものもあるだろう。他校でうまくいっている取組があるからといって、その取組だけを真似てもうまくいかないことがある。OJTを進めるにあたって、自校で現在行っている取組の目的や方法を今一度見直してみることで、より効果のある取組になり得ると考える。見直す際の具体的な視点としては、例えば、 などが考えられる。大切なことは教職員一人一人が課題意識をもち、課題解決のために全教職員で同じ方向を目指して、意図的・計画的・継続的に取り組むことである。 ・取組の目的が明確であるか ・取組の目的を全教職員で共有できているか ・教職員の学びや資質・能力の向上につながっているか ・意図的・計画的・継続的に取り組んでいるか ・他の取組との関連付けをしているか また、若手教職員、中堅教職員、ベテラン教職員それぞれのキャリアステージに応じて必要とされるスキルや担う役割が変わってくるので、各自がそれを意識して取り組むことも大切である。ここでポイントとなるのが、ベテラン教職員の関わりである。ある学校長は、若手教職員の育成を進めるにあたって、「ベテラン教職員への指導が必要だと感じる」と話されていた。現在50代の教職員と20代の教職員とでは、当たり前だと感じる内容が違う。そのことを理解し、わかりやすく伝えることや、叱るよりも褒めることを意識するようにベテラン教職員に働きかけているそうである。また、アンケートの中には「ベテラン層の教職員の知恵と経験を取り込めるよう心がけている」など、ベテラン教職員のよさをうまく生かして取組を行っているという回答もあった。このように、ベテラン教職員への意欲喚起やベテラン教職員のよさを生かせるように工夫することで、若手・中堅・ベテラン教職員が相互に学び合うことができる。これまで蓄積されたベテラン教職員の優れた知識や技能を若手教職員に伝承し、若手教職員の発想力やICT活用能力からベテラン教職員が学ぶといった、世代を越えた学び合いが日常的に行われている状態こそが、本研究で目指す日常的なOJTの活性化なのである。 第2節 実践を通した検証に向けて 小・中 日常的なOJT 18 課題解決に向けた 具体的な取組の計画 修正、改善し実践 Research 自校の分析 課題の共有 Plan Do 取組の実践 Check 取組の振り返り Action 定期的に振り返り、改善と実践を繰り返す。
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