618_R4「OJT」最終稿【大上】
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第1節 研究を通して見えてきたこと 第4章 研究の今後 験した若手教職員が、やがてミドルリーダーとなり、学校の主力メンバーとして活躍するなど、校内での育成と伝承が継続して行われている。 〈ICT機器を活用した学び合い〉 ある総合支援学校では、教職員数が多く、全員で集まって研修会をもつことが難しいため、研修会を 録画して動画配信を行っている。その他にも、個人のレベルに応じてICT機器の活用方法を学べるコン テンツを作成したり、研修用に作成したスライドやミニ動画等を共有したりして、自分の都合のよいときに必要なことが学べるように工夫している。共有されたスライドやミニ動画を見て各自がコメントを入力することができるようになっており、一方的に発信して終わりではなく、やり取りを通して互いに学び合うことができる。また、一度作成して保存しておけば、校内体制が変わっても引き継いでいくことができる。キャリアの異なる教職員が数多くいる組織だからこそ生まれた、恒常的に学べるシステムである。 〈日々の学年会や教科部会での学び合い〉 〇学年会でのきめ細かい教材研究 E小学校では、教材研究の方法を全教職員で共通理解している。その上で学年会では、教材を準備するだけでなく、教材の活用の仕方、発問、振り返りの仕方など細かいところまで話し合って授業づくりを行っている。また、日常的に学年内で授業を参観し合い、互いに学び合っている。そうすることで、経験年数に関わらず、授業の質をある程度揃えることができる。また、学年や指導者が替わっても、子どもたちは同じような進め方で授業を受けることができる。 〇教科部会を中心とした授業研究 ある義務教育学校では、小学校籍と中学校籍の教職員が一人一教科の部会に所属し、研究テーマをもとに各教科部会で授業を練り、年度内に一人一回は授業を公開している。教科部会で事前研究会や事後研究会を行い、採用10年目以上の教職員が積極的に助言をしている。日常的に教科部会で集まることが増え、自然に対話や学び合いが生まれている。 このように、教職員同士で学び合う機会は、各校で様々な工夫をして設定されている。時間の確保についても、週に1回部活オフデーを設けたり、完全下校の時刻を早めたりし、全教職員が落ち着いて研修会に参加できるように工夫されている学校もある。研修会や会議の時間は、1回30~45分(場合によっては10~15分のものもあり)と決め、短時間で質の高い研修が行われている。また、一斉に全員が同じことを学ぶだけでなく、必要に応じて自分に合った内容や方法を選択して学ぶことで、より学びの意欲や効果が上がるのであろう。 また、取材を通して「見える化」という言葉を複数の学校で聞いた。「学びの見える化」「取組の見える化」「成果の見える化」などである。特に、教職員の「学びの見える化」については、意識して取り組んでいる学校が複数あった。例を挙げるとするならば、各教職員が校外の研修会等で学んだことをレポートにまとめてファイリングしている学校、GIGA端末の共有フォルダを利用して教職員間で学びを共有している学校、中学校ブロックで共通して使用している「授業プランニングシート」や「カリキュラム・マネジメントシート」などを個人ファイルに蓄積している学校などである。見える化を図ることで、情報を共有したり、個人や全体で振り返ったりしやすくなる。また、取組を引き継いだり、校外に発信したりすることもでき、大変有効であると考える。 アンケートや聞き取り調査を通して、本市のOJTの実態や各校の取組の様子がわかってきた。調査を進める中で強く感じたことは、OJTの捉え方は個人によって多種多様であり、これという明確なものがないということである。このことが、学校現場でOJTという言葉が浸透していなかったり、うまく機能しにく小・中 日常的なOJT 17 123

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