618_R4「OJT」最終稿【大上】
18/22

などが挙げられる。 122 などが挙げられる。 デメリットとしては、「複数学年の教材研究を同時に行わなければならない」という点が、小・中学校共通に挙げられる。特に中学校では、初年度は3学年分の教材研究をする負担が大きいようであるが、 3年間経験すると様子がわかり、慣れてくるとのことであった。 〈メンター制〉 C小学校では、若手教職員1人と採用6年目以上の教職員2~3人で一つのグループをつくり、研究 授業づくりや話し合いなどを行う「メンター制」を導入している。グループには、事務職員や管理用務員も入り、全教職員で取り組んでいる。基本、週に1回20分程度メンターの時間を確保し、それ以外にも必要に応じて随時行っている。 メンター制の成果として、 ・全教職員が関わることで、接点が少なかった者同士の関わりが増えた。特に、担任をもっていない教職員との関わりが増え、職員室の風通しがよくなった。 ・複数で関わることで、若手教職員の困りにすぐに対応できた。 ・学年だけで話し合うよりも、いろいろな人の意見を聞くことができ、見方・考え方が広がった。 課題としては、「グループの枠を決めることで、融通が利きにくい面がある」ということがある。学年会や各自の仕事がある中で、職種や学年の違う者同士で集まって話し合う時間を確保することは難しく、行事の前などは時間が取れないときもあったそうだ。しかし、メンター制を導入したことによる成果は大きいと感じているので、今後は校内研究だけでなく、他の取組とも連動性をもたせ、メンター制をより効果的に活用していきたいとのことであった。 ③多様な学び合いの機会の設定 多忙による時間のなさや総合教育センターから遠いこと、新型コロナウイルスの流行等、様々な理由で校外での研修に参加しにくい中、校内での学び合いの機会や方法を工夫して設定することがより重要になってくる。最近では、全教職員で一斉に行う講義型の研修会よりも、グループでの対話を通して学び合うワークショップ型の研修会が主流になっている。アンケートや取材でも、研修会の際に小グループで話し合う時間を設けているという学校が多かった。各校での多様な学び合いの機会の中から、具体的な取組例を紹介する。 〈一人一人の強みを生かした学び合い〉 各教職員が講師になり、自分の得意分野や教科指導についての知識や技能を他の教職員に伝達する。または、自分の興味・関心のあることを調べたり、研修会に参加して学んだりしたことをレポートやスライド等にまとめて発信するなど、教職員同士で学び合う研修スタイルを確立している学校が複数あった。これらの取組については、全教職員を対象に任意参加で実施している学校が多く、自分に必要なことを選択して参加できるという利点がある。各取組には、「ストロポ(ストロングポイント)」「JSD(若年・先輩・道場)」「一粒万倍ミニ研修」など、学校独自の名称が付けられている傾向があり、いずれも教職員の間で定着している様子であった。 〈若手教職員を中心とした学び合い〉 アンケートの結果にもあったように、OJTを意識した取組として若手研修会を挙げている学校が多かった。特に、ミドルリーダーの育成のために、中堅教職員が若手研修会を企画・運営している事例が多かった。中には、若手研修会は、若手教職員だけでなく、企画・運営する側にも大きな学びがあるとして全教職員で取り組んでいる学校もあった。 D中学校では、若手教職員が非常に多く、約6年前から若手教職員の育成に力を入れている。学校長は、年齢や経験年数に関係なく、意欲やエネルギーのある教職員に主要な役割を与えている。そうすることで、若手教職員が育ち、よい雰囲気や活気が学校全体に波及するそうである。研修会の内容は、若手教職員のリーダーと研究主任が相談して企画し、月に1回のペースで実施している。この研修会を経小・中 日常的なOJT 16

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る