618_R4「OJT」最終稿【大上】
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くり上げたという達成感が感じられ、より課題意識をもって取り組みやすくなる。また、年度末だけでなく、年度途中にも達成度や内容を振り返り、常に改善しながら進めていくことも大切である。 〈教職員の声を取り入れたグランドデザインの設定〉 年度末にワークショップを開き、全教職員で今年度の振り返りを実施。そこでの話し合いや学校長と教職員との面談の中で出てきたことなどを取り入れて、次年度のグランドデザインを学校長が設定する。教職員の声を形にすることで、教職員一人一人の意欲や意識が高まる。 このように、自校の教育課題や教育目標等について全教職員で話し合うことで課題を共有することができ、学校として必要な取組を進めやすくなる。また、全教職員のよりよい学校づくりへの動機付けや参画意識の高まりにもつながる。 ②伝承や育成を意識した組織づくり 役割分担やメンバーの構成等を工夫し、知識や技能、取組の伝承、次代の育成に意図的・計画的・組織的に取り組んでいる例を紹介する。 〈ファシリテーターの設置〉 〇チーフマネージャー 経験、実力のある中堅教職員を、あえて担任をもたないフリーの立場(専科担当)にし、チーフマネージャーとして学校運営の中心的役割を任せる。担任代行に入ることもできるので、教務主任が代行をしなくてよくなり、仕事が円滑に進む。示範授業をしたり、若手教職員の相談に乗ったりするなど、若手教職員の育成も担う。 〇研修主任 子どもの学びを中心に考える研究部とは別に、教職員の研修に特化した部(研修部)を設置。研修主任が全ての研修を計画する。研究部と研修部を合わせた「まなび部」で研究と研修について一緒に考える。これまで研究主任が一人で担っていた仕事を分担したり、二人で一緒に考えたりすることができる。また、研究と他の研修を関連付けやすくなり、より効果的な取組へと発展させることもできる。 このように、研究主任だけでなく、どの分掌でも主任一人に任せるのではなく、常に相談しながら進められる体制をとることは、組織的に取組を進めやすくなるだけでなく、個人の負担軽減にもなり大変有効である。 〈副主任の役割〉 副主任の位置付けについては、二つのタイプが見られた。一つ目は、若手教職員を主任、主任経験のある中堅・ベテラン教職員を副主任にし、副主任がサポートしながら仕事の引継ぎを通して指導を行う方法である。若手教職員にとっては、身近に相談できる相手があり、初めての仕事でも安心して取り組むことができる。二つ目は、次の主任候補を副主任にし、1年間主任の動きを見たり、一緒に活動したりしながら仕事を覚えていく方法である。どちらの場合も、先を見通した体制が組まれており、1年間かけて着実に取組の伝承や次代の育成を図ることができる。 〈授業の縦もち、教科担任制〉 取材した中学校7校のうち2校で、一つの学年の授業を2~3人の教師で担当する「縦もち」を実施していた。一人が受け持つ学年は、A中学校では3学年、B中学校では2学年であった。また、取材した義務教育学校では高学年で「完全教科担任制」を、ある小学校ではこれまでチーム・ティーチングで指導する際にT2を担当していた教員を専科担当にするなど体制を工夫して、低学年から「教科担任制」を実施しているところもあった。 縦もちや教科担任制のメリットとしては、 ・一つの学年を複数人で担当するので、授業の進め方や評価についてなど、必然的に話し合う機会が増え、若手教職員とベテラン教職員が互いに学び合い、授業の質を高めることができる。 ・複数学年を担当することで、自分の学年という捉えがなくなり、全教職員で全児童生徒を見るという意識が高まる。そのため、教職員間で児童生徒の情報交換がしやすくなる。 ・教科担任制を導入することで、小学校でも1日1時間程度空き時間を確保することができる。 小・中 日常的なOJT 15 121

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