618_R4「OJT」最終稿【大上】
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(4)研修や課題に対する意識、姿勢 学校長と教務主任・研究主任に、「OJTを意識した取組を通して、それぞれの力(若手・中堅・ベテラン教職員の資質・能力、学校の組織力)は高まっていると思いますか」と尋ねたところ、若年教職員や中堅教職員については「あまりそう思わない・そう思わない」という回答が5%未満なのに対して、ベテラン教職員については「あまりそう思わない・そう思わない」という回答は、小学校は約20%、中学校は約30%であった。また、アンケートの最後に設けた「OJTの推進について、ご意見があればお書きください」という質問でも、「ベテラン教員の、後輩への指導に対する意識や技量が低下していると感じる」「40代の教員に若手を育てるという意識が薄くなっており、負担に感じているようだ」など、ベテラン教職員の意欲や意識の低さを指摘する回答が見られた。従来、OJTというと、若手教職員の育成という印象が強く、ベテラン教職員にとっては自分事として捉えにくいのかもしれない。あるいは、取組の内容や方法に課題があるのかもしれない。しかし、第1章でも述べたように、これからの学校現場においては、教職員一人一人の得意なことや個性を生かしながら、互いに学び合い高め合うことのできる教職員集団であることが必要であり、誰もが課題意識をもって主体的に関わっていける取組でなければならない。 さらに、「あなたは、それぞれの場(校内研究会や研修会、学年会、教科や分掌等の部会、若手教員対象の研修会)で研修や会議を行う際、どのような参加の仕方をしていることが多いですか」という質問(図2-3)では、校内研究会や研修会の場で「自分の考えを積極的に話している」という回答が、キャリアアップ研修受講対象者28.4%、採用2・3年目教員19.3%と非常に低く、「話を聞いていることが多いが、時々自分の考えを話す」という回答が、キャリアアップ研修受講対象者55.2%、採用2・3年目教員64.6%であった。若手教職員にとっては、自信のなさや緊張から全体の場で意見が言いにくい状況はよくあることで、この結果もある程度納得することができる。しかし、キャリアアップ研修受講対象者、つまり採用10年目以上の教員も半数を超えている。これは、教職員一人一人の研修への参加意識も関係するとは思うが、研修のもち方にも課題があるのではないだろうか。本来、校内研究会は、全教職員が活発に意見を交換する場であり、若手教職員こそ積極的に意見を言える場であることが望ましい。現状としてそれができていない学校が多いのであれば、一度研修会のもち方を見直す方がよいのではないだろうか。筆者にも経験があるが、学校現場では、検証や引き継ぎに十分時間が取れず、特に大きな問題がなければこれまでと同じような内容や方法で取り組むというような前例踏襲型になりやすい傾向が見られる。時代の変化、学校や子どもの実態に応じて、その都度取組や研修の在り方も見直していくべきである。 (5)Off-JTとの関わり 学校長以外の教職員に「校外で学んだことを、自校の教職員に伝えていますか」と尋ねたところ、キャリアアップ研修受講対象者や採用2・3年目教員では「伝えていない」という回答が約20~30%見られた。学校長には、各教職員が総合教育センターでの指名研修とそれ以外の研修に分けて伝達する機会の有無を尋ねたところ、図2-4(p.11)のような結果であった。指名研修で学んだことについては、伝達図2-3 校内研究会や研修会の参加の仕方 116 小・中 日常的なOJT 10 (%)

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