618_R4「OJT」最終稿【大上】
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図2-2 ロールモデルの存在 表2-5 OJTに関する取組の実施方法(複数回答可)*数値は割合(%)を示す ても、どの対象者も90%以上が「している」「どちらかといえばしている」と回答している。これらのことから、多くの学校で日頃から教え合ったり相談し合ったりしやすい雰囲気ができているといえる。 一方、「日頃、自校の教職員に教えたり、相談にのったりしていますか」という質問では、キャリアアップ受講対象者と採用2・3年目教員で「どちらかといえばしていない」「していない」との回答が20%弱見られた。その理由として最も多かったのが、「自分や相手が忙しくて時間が取れない」であった。採用2・3年目教員については、「自分が教えてもらう立場なので、教えることはあまりない」という回答も複数あった。このことから、話しやすい職場環境ではあるものの、なかなか自分から教えたり、相談にのったりする時間までは取れていないという現状が見て取れる。 「校内に、自らの模範や憧れとなる教職員はいますか」という質問では、教員経験年数が少ないほど「いる」という回答が多く、採用2・3年目教員では95%を超えている(図2-2)。「初任期教員が育つ学校づくり8つの視点」にもロールモデルの存在の重要性が挙げられており、若手教職員にとっては、模範や憧れとなる教職員の存在自体が学ぶ機会になっているといえる。 (3)OJTを意識した取組 OJTを意識した取組について、何らかの取組が「ある・どちらかといえばある」と回答した割合をまとめると、学校長91.6%、教務主任・研究主任82.4%、キャリアアップ研修受講対象者68.4%、採用2・3年目教員65.1%で、立場によって差がみられた。これは、主に研修を企画運営する立場である学校長や教務主任・研究主任と、受ける立場であるキャリアアップ研修受講対象者や採用2・3年目教員で、研修に対する意識や姿勢に差があるためではないかと考える。OJTを意識した取組を意図的・計画的・継続的に行っているかを尋ねた質問の回答を見ても、同様の結果となっている(表2-5)。特に、取組を意図的に行っていると答えた割合を比べると、学校長と教務主任・研究主任は約75%なのに対し、キャリアアップ研修受講対象者と採用2・3年目教員は約56%だった。つまり、取組を企画運営する側は意図的に行っているつもりでも、受ける側に意図が伝わっていなかったり、意図を捉えられていなかったりすることが多いといえる。 また、OJTを意識した取組についての自由記述を見ると、最も多かった取組が「若手研修会の実施」であった。特に、ミドルリーダーが中心となって若手研修会を進めていたり、ミドルリーダーによる授業公開や実践発表等も行われていたりするなど、ミドルリーダーの育成に力を入れている学校が多いことがわかった。その他に、世代の異なるグループでの話し合いや、伝達研修、ミニ研修を実施しているという学校も多く、「各自の学びをレポートやプレゼンテーション資料にまとめて交流する機会をもっている」「研修をアウトプット型で行っている」など、学校独自の取組も見られた。そのような独自の取組を行っている学校については、取組の意図や具体的な方法、取組を通してどのような力が付いたのか、個人だけでなく学校組織としての変化は見られたかなど、聞き取り調査で詳しく尋ねることにした。 小・中 日常的なOJT 9 115 (%)

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