② グラフ読み取りガイド □ある程度質量が大きくなると、鉄は水銀の中に沈む。 □少しでも質量が大きくなると、鉄は水銀の中に沈む。 ☑質量に関わらず、鉄は水銀に浮く。 5 次の文の意味することと一致しているものを選びなさい。 「甘さを決める砂糖水の濃さは、必ずしも溶かした砂糖の量だけでは表せない。」 ☑砂糖水の濃さで甘さが決まる。 □水に溶かすと砂糖の量だけを表すことはできない。 □砂糖水の濃さは砂糖の量で決まる。 □砂糖の量以外では、砂糖水の濃さを変えられない。 このように、よく行われている太字の用語を答える問いではなく、用語の意味や概念を説明した文を読ませるような問いを設定するのである。作問の際の留意点は以下のとおりである。 ・生徒が解答するために教科書の意味や概念を説明した文を読むようにする。 ・基本は選択式とし、アプリケーションの機能を用いて解答の傾向を指導者が把握できるようにする。 ・選択肢も文章にし、複数のテキストから情報を取り出すこと、教科書の文を正しく言い換えること ・GIGA端末を使用するため、図表や写真等を提示した問いも設定する。 図表等についても、「取り出し、思考し、説明する」ことが求められている。中学校の学習では、理科に限らず各教科等において、根拠をもって論理的に説明することを目標とした学習がある。図表等から情報を取り出し、それを根拠として自分の意見を述べたり考察したりする学習場面では、自分の知識や経験と照らして語句や文、文章と、図表もしくは複数の図表を関係付けるといった「思考する」ことや、その関係付けた事柄を文や文章で書き表すといった「説明する」ことも求められる。 グラフには、複数の事柄の関係が一つの資料に集約されている。それらが視覚的に捉えられるように示されているため、例えば指導者が指さしながら説明すると、多くの生徒は理解できたと感じる。しかし、生徒自らに説明させようとすると、情報の選択につまずいたり、言語化しても主語や前提となる条件が欠けていたりして、筋道立った説明になっていないことがある。この原因は「グラフの読み方をわかっている」ことと「文に表すことができる」ことの一方またはその両方が不十分であるためだと考えられる。これらのことを踏まえ、グラフの基本的な情報を取り出すための手順を提示し、取り出した情報を話型にあてはめて言語化を支援する「グラフ読み取りガイド」(図2-5)というワークシートを用いる。 グラフ読み取りガイドは、「グラフのタイトルを取り出す」「縦軸・横軸の要素を取り出す」「グラフの傾きを見る」「これらの情報を、話型に当てはめて文で表す」活動を明示したワークシートであり、これらの活動を指示した左の縦の帯部分が、このガイドの基本的な構造である。基本的な構造の右は、内容により異なる部分であり、活動や情報についての解説や、取り出した情報を生徒が記入する欄にするなど、学習内容や生徒の実態に応じて作成する部分である。グラフのタイトルはグラフの下に記載するのが慣例であるが、生徒にとってはグラフの作成は未習事項(理科では1年生の11月ごろ、単元3「グラフ作成」)で扱う)である。生徒にとってそれより前に学習することとなるため、丁寧に行いたい。また、理科の学習で読み取るグラフのほとんどは、横軸の値の増加に応じて縦軸の値がどう変化するかを示したものであるが、「グラフが正確に読み取れていない」と見取られてしまう理由の一つとして、主語がな基本的な構造 指導者が作成する部分 図2‐5 グラフ読み取りガイドの例 小・中 読み解く力 7 79
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