617_R4「読み解く力」最終稿【中村寿・中村洋】
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図2‐4 読み解きチャレンジの画面(問いは表2-32ほか) 小・中 読み解く力 6 78 できているかを確認する「読み解きチャレンジ」(図2-4)を実施する。この取組は、クイズ作成ソフトで作成した問いに、教科書を読みながら解答するものである。この点で、暗記できているかを確かめるいわゆる小テストとは趣旨が異なる。理科の教科書にある用語や概念、現象を正確に説明した文は、生徒が日常的に慣れ親しんでいる表現とは隔たりがあること(例:表2-35)が多いため、生徒が正しく理解できているとは限らない。ともすると、生徒は理解を誤ったまま授業に参加し続けている心配もある。読み解きチャレンジは解答後、直ちに正誤が明らかになるため、正しい理解に基づいて、観察、実験を行い、考察に臨むことができる。生徒は、出題された部分について教科書を改めて読むことで、目的に応じて情報を取り出す機会を得る。また、選択した解答に対するコメントを載せることができるクイズ作成ソフトのフィードバック機能を使って、誤答のあった生徒に、選択した解答に応じたコメントを返すことで、生徒に自らの弱点に気付かせ、読みの精度を上げる必要性を感じさせることで、意味の正確な理解を促すものである。 出題する内容は、本時の学習の用語の定義や、誤概念を抱きやすい説明を含めるようにする。生徒に読ませたい部分を必ず読ませるような問いにすることで、授業の展開部における生徒の気付きや学習の深まり、安全な観察、実験の実施にも結び付けられると考える。出題にあたり、注目した教科書の部分と、出題の種類、問いの例を表2-1、2-2、2-3に示す。 表2-1 教科書でつまずきが予想される箇所 用語、用語を説明した文 概念を説明した文、定義 具体例を一般化した文 図表、グラフ、写真 表2-2 出題の種類 用語とその定義・説明を正しく結び付けさせる。 本時に扱う内容と既習事項を結び付けさせる。 抽象的な用語と、それから取り出せる情報を結び付けさせる。 図表や写真と、それから取り出せる情報を結び付けさせる。 文章から得た概念やそれを説明した文と、それらを言い換えた文を結び付けさせる。 観察、実験の方法や対処として正しいものを選ばせる。 観察、実験のねらいや方法、着眼点が正しいものを選ばせる。 表2-3 出題した問いの例(上段:問い 下段□:選択肢 ☑:正答) 1 石灰水が手についてしまったときの最初の対応を選びなさい。 ☑多量の水で洗い流す。 □タオル等でふき取る。 □先生に報告して指示をあおぐ。 2 ここでいう「状態」とは何か。最も適切なものを選びなさい。 ☑固体・液体・気体 □氷・水・水蒸気 □物質の温度 □体積と質量 (水溶液は透き通っているという教科書の文を受けて) 3 透き通っているのはどれか。すべて選びなさい。 ☑赤ワイン ☑みりん □石灰水(二酸化炭素に反応したもの) (水銀に浮く鉄製のボルトの写真を見て) 4 この写真よりも質量の大きなボルトを入れるとどうなるか。

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