617_R4「読み解く力」最終稿【中村寿・中村洋】
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図2‐1 言葉調べワークシート 小・中 読み解く力 4 76 このように小学校では、児童が体験的に学ぶことも大切にしつつ、教科書等のテキストを用いた学習活動を一定頻度取り入れた授業設計を提案する。 (2) 中学校の学習で目指すこと 学校で学ぶ新出の用語は小学校よりも増え、1時間に1語ペース、章の導入では五つ前後の新出の用語がまとまって出てくる場合もある。そのため中学校の授業では、これらの用語一つ一つの習得のための時間を十分に割くことはできず、場合によって家庭学習での習得を求めざるを得ないこともある。そこで、新出の用語の習得が確実なものとなるように、生徒に教科書を読み取らせ、生徒なりに習得した用語の定義や概念の理解が正しいかを点検する問いを設定することが効果的と考えた。本取組において、生徒の用語の習得の入口は、教科書を読むことによる自学となる。自分なりの理解を確認、修正した上で、その後の授業に臨み、観察や実験、考察の段階でそれらの用語を活用し、教科の目標の達成に資するものとなることが期待できる。 第2節 具体的な取組 (1) 小学校 連続型テキストから目的に応じて情報を取り出すとき、語彙力は必須であるため、語句の意味を「調べる活動」を行う。そして、非連続型テキストから情報を取り出せるようになるために「グラフ作成ワークシート」を用い、各自にグラフを作成させることを通してグラフの仕組みを理解できるようにし、情報の読み取りに役立てさせる。そして、「論証フレームワークシート」を用い、問題解決のために取り出した情報を関連付けるなど活用し、筋道立てて説明できるようにする。「修正する活動」は、授業終盤の振り返りなどの場面で学習に不可欠な用語を用いて、学習内容や学び方を説明し合わせるものである。 ① 調べる活動 「読み解く力」のうち「連続・非連続型テキストから目的に応じて情報を取り出す力」を向上させるためには、語句の意味を正確に知っている必要がある。しかし、すべての児童が語句の意味を正確に理解できているわけではなく、あるいは理解語彙としては獲得できていても、使用語彙に至っていなかったりする場合もあるだろう。そこで、自分が意味を説明できない語句を教科書から見つけ、国語辞典で意味を調べ、GIGA端末を用いて、図2-1のようなワークシートに入力し、蓄積する活動を行う。 学習支援ソフトのクラウド上のフォルダに蓄積し、観察、実験、考察、振り返りなどの場面で語句を正しく使うための手立ての一つとする。 この活動を通して、語句の意味を知ることの他、語句に着目すること自体への意識が高まり、他の学習活動や後の学習活動で自ら語句の意味を調べる姿勢につながることが期待される。 ② 使う活動「グラフ作成ワークシート」「論証フレーム」 「グラフ作成ワークシート」は、児童が図表等の仕組みを図表等を作成することにより知ることで、図表等から情報を正確に取り出せるようにする手立てとなるものである(図2-2)。情報を取り出すためには、図表等がどのような仕組みでつくられているのか理解する必要がある。このワークシートを用いて図表等の横軸、縦軸などが何を表しているのかを児童に問いかけ確かめながら、各自が意味を確認し観察、実験から得たデータを記入する活動を行う。この活動により、読み取るときにも児童が図表等から値の変化などの情報を正確に取り出すことができるようになると考えられる。

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