おわりに 今回の実践では、指導者も児童生徒も語句や図表等を意識して教科書を読んだり、実験結果から情報を取り出したりすることができていた。今年度は一つの課題や一文のテキストに焦点を置いて取り組んだ。そのため、児童生徒がつまずくポイントに指導者が気付き、取組を通して「読み解く力」の基本的な部分である「連続・非連続型テキストから目的に応じて情報を取り出す力」を育成することはできたと考えている。しかし、今後求められている力を考えると、より高度な「読み解く力」の育成を目指したい。今回の研究を通し、一つの課題や一文のテキストをその他のテキストとの関係や前後のテキストとのつながりで見たときにも、児童生徒の学びの深まりが見られた。このことから、多岐にわたる情報の取り出し方、思考の方法、表現にも対象を広げ、今後の研究を進めたい。 実践を進めていく中で感じたことは、「読むっていったい何だろう?」ということである。改めて「読む」ことについて考えてみると、いくつものステップが複雑に絡み合うことなのだと気付いた。一言に「読む」といっても、音読する、意味を考える、意見をもち述べるなど、その言葉のもつ意味の大きさに気付くことができた。これまでの授業中、子どもたちに教科書を読ませていたときも一人一人「読む」レベルが違っていたのかもしれない。そう考えると、子どもたちの「読み解く力」を高めるために、どう指示し、どこまで要求するかといった、指導者が果たす役割はとても大きい。これからの社会を担っていく子どもたちの「読み解く力」を高めるためにも、指導者の意識を変えていくことも必要だと感じた。「読み解く力」を高めることは簡単ではないが、高めることができる可能性を感じる実践であった。 最後に、本研究の趣旨を理解し、協力してくださった京都市立北白川小学校、京都市立修学院小学校、京都市立西陵中学校、京都市立大淀中学校の校長先生をはじめ、研究協力員の先生方や教職員の皆様、そして、提案した活動に前向きに取り組み、読むことの難しさや大切さを改めて気付かせてくれた子どもたちに、心から感謝の意を表したい。 小・中 読み解く力 31 103
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