617_R4「読み解く力」最終稿【中村寿・中村洋】
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情報へのアクセス・取り出し情報の取り出し主にテキストの内部の情報を利用統合・解釈幅広い理解の形成読解力テキストの形式の熟考・評価解釈の展開主に外部の知識を活用熟考・評価テキストの内容の熟考・評価第1節 読み解く力の必要性 (1) 読み解く力とは 変化の著しい現代、未来において、子どもたちには、さまざまな社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となる資質・能力が求められている。そしてそこでは、社会の変化や価値観の多様化に対応できる柔軟さが求められる。そして、そのような社会にあっても、テキストを読み取り理解することの重要さに変わりはないと考えられる。令和3年度の全国学力・学習状況調査の分析結果によると、全国的に「文章で表された情報を的確に理解すること(1)」、「文における主語を捉えることや文の構成を理解したり表現の工夫を捉えたりすること、目的に応じて文章を要約したり複数の情報を関連付けて理解を深めたりすること」、「文章を読んで根拠の明確さや論理の展開、表現の仕方等について評価すること」に課題があることが明らかになっている(2)。 テキストを読み取り理解することの課題は図1-1(3)が示す読解力の枠組みのように広範であるが、(2)に述べる実態と課題に照らして、私たちは「読み解く力」を、「連続・非連続型テキストから目的に応じて情報を取り出し、課題解決のためにそれらを関連付けるなど活用して思考し、解決のプロセスを筋道立てて説明する力」と定義し、読解力のうちでもより基礎的・基本的な部分に焦点を当てて実践を進めることにする。 現行の学習指導要領でも引き続き言語活動の充実が求められているところであり、交流や表現の活動がさかんに行われているのは望ましいことだが、一方、一人一人の児童生徒が語句や文、文章の意味を正確に理解した上で考えをもち、発言や記述をしているかどうかを確かめることがおろそかになっているのではないだろうか。本研究では、今一度この基本をも重視して実践を進めたい。 (2) 児童生徒の実態と課題 全国学力・学習状況調査の分析結果では、かねてから「思考力、判断力、表現力等」に課題があるとされ、それらの力を育成するための授業提案や実践が行われている。そのような中、「令和の日本型学校教育の構築を目指して(答申)」(4)で、次代を切り拓く子どもたちに求められる資質・能力の一つとして「文章の意味を正確に理解する読解力」が挙げられた。また、令和3年度の京都市の全国学力・学習状況調査結果の分析(5)では、「目的に応じ、文章と図表とを結び付けて必要な情報を見付けること」や「目的を意識して、中心となる語や文を見付けて要約すること」に課題があると報告されている。さらに、令和4年度の京都市の全国学力・学習状況調査の理科の分析(6)では、「実験で得た結果を、問題の視点で分析して、解釈し、自分の考えをもち、その内容を記述すること」を求める問いの正答率が低いと指摘されている。つまり、目的に応じて連続型テキストや非連続型テキストから必要な情報を取り出すことと、それに基づいて自分の考えを形成することに課題があるということである。 「思考力、判断力、表現力等」は基本的な習得した知識を活用する中で発揮されるものであるが、語句の意味が分からないことで文や文章の内容が十分に読み取れなかったり、逆に、教科学習に必要な用語を説明する文や文章を十分に読み取れないことで、その用語の意味が十分に理解できていなかったりしているおそれがある。このような実態を踏まえ、研究の一年目は「読み解く力」のうち「連続・非連続型テキストから目的に応じて情報を取り出す力」の向上にまず着手することとする。これにより、児読み解く力 図1-1 読解力の枠組みと側面の下位尺度との関係(筆者が一部加筆) 第1章 研究主題について 小・中 読み解く力 1 73

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