第1節 小学校における実践の成果と課題 実践中の児童の考察や振り返りの記述、実践後に行った児童や研究協力員への聞き取りなどを通して児童の意識の変容が見られたかどうかを検証していく。 (1) 調べる活動 A児:わからない言葉があると、次、その言葉を使う時に困るから。 B児:わからない言葉がわかると授業がしやすくなるから。 C児:自分でやることで自分のための力になると思うからです。 D児:自分でも調べたりする力を身につけたいから。 E児:これからわからない言葉を調べなくて友達に聞いたら大人になって人に頼ってばかり の人になってしまったりすると嫌だから子どものうちに調べることを覚えていきたい。 A児やB児の回答からは、わからない言葉を知ることで授業がよりわかり、今後その言葉を使う時に困らないからという、語句を知ることで学習がわかりやすくなるという意識が読み取れる。またC児、D児、E児の回答からは、調べる活動をすることで、調べる力や調べる習慣が身に付き、自ら学習する力になるという意識が読み取れる。 言葉の意味を調べて、言葉の意味を知ることで、授業がよくわかるようになりましたかこれからも、自分でわからない言葉を調べようと思いますか0%とてもそう思うそう思うあまり思わない思わないわからない図4‐1アンケート結果①425320%40%小・中 読み解く力 24 443960%96 第4章 研究の成果と課題 本取組は、グラフを提示されたときに、そこから何がわかるのか言葉にして説明できなかったり、そもそもグラフのどこを見たらよいかわからなかったりする生徒に向けての手立てとして、グラフの読み取り初期の実践である。対象にした生徒は第1時で戸惑いが見られたものの、取組を重ねることで徐々に、グラフが表す変化を自分の言葉で表すことができるようになった。 3年生でGIGA端末を活用した調べる活動を行った。図4-1は調べるという取組が児童の語句に対する意識にどのように影響したのかを調査した結果である。 「言葉の意味を調べて、言葉の意味を知ることで、授業がよくわかるようになりましたか」「これからも、自分でわからない言葉を調べようと思いますか」の質問に対して、およそ9割の児童がとてもそう思う、そう思うと答えている。その理由として、以下のような回答が得られた。 調べる活動では、児童が調べる方法を知り、調べた語句を蓄積することでもっと語句の意味を知りたいといった様子で、知ることの楽しさや、語句に着目すること自体への意識が高まったことが、実践の姿からうかがえた。またなんとなく知っていた語句を改めて調べることで、より正確に理解し、その理解をもとに自分の考えをより明確に説明し、伝える場面もあった。こうした学習習慣により、後の学習活動でも自ら語句の意味を調べる行動が多少見られるようになった。 626305 80%100%n=65
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