いない生徒が多く、生徒の記述から十分な検証をすることができなかった。観察したことを言語化できなかった原因の一つは、これまでの学習の中では光源から出た光(入射光)がどうなるかを専ら観察していたが、本時は自分の目に入る光(反射光もしくは屈折光)が対象であったことが挙げられる。読み解きチャレンジの中で、光源から出た光を起点に考える視点から自分の目に入る光をさかのぼる視点に置き換えて事象を観察できるような問いを入れるなど、学習理解の視点による作問も視野に入れる必要がある。 (2) 着眼点と話型を与えることで これまでの学習では理科でグラフを扱うことはなく、本章の第1時で扱う図3-24は、中学校の理科で初めて扱うものである。このグラフは、加熱すると温度が上がるが、状態変化している間は加熱していても温度が変化しないことを表している。このことを生徒が自分の言葉で表せるように、グラフの読み取りガイドを用いた。また、図3-25は本章の第2時で扱うグラフの書き方を学習するもので、本章の第3時に行う実験の結果をグラフで表すための教材である。すでに水を加熱したときの温度変化がグラフに記載されているが、ここにエタノールの温度変化を記入し、水とエタノールの温度変化の違いについて、共通点と差異点を見いださせ、第1時の活動を踏まえて自分の言葉で表す活動を、グラフの読み取りの2回目の学習とした。実践にあたり、グラフ読み取りガイドは図2-5の様式をもとに研究協力員がアレンジしたものを用いた。 ① 単元2 3章 物質の状態変化(A校) A校の第1時実施した図3-24のグラフを読み取る活動では、グラフから情報を取り出す段階を授業で、取り出した情報をもとに自分の言葉で書き表す段階を家庭学習で行った。授業では、グラフ読み取りガイドの配布前に、まずグラフの形に注目させ、温度が上がっていく時間と一定になる時間があることを見つけさせた。次にグラフのタイトル、横軸、縦軸に書かれていることを問い、生徒は教科書のグラフから横軸、縦軸に書かれていることとグラフの形からわかることを書き出した。(図3‐25)。ここでガイドを配布し、情報の取り出しの手順の確認と、グラフ読み取りガイド(以下、ガイドとする)の要点の説明の後、情報を取り出す際の着目点となる横軸と縦軸に再度注目させた。ガイドにある「文で表す」欄は、右上がりの部分について横軸と縦軸からわかる情報を用いるように指示されているので、グラフの横軸、縦軸、グラフの形に注目することができ、家庭学習での記述に入ることができた。 この授業の学習課題「物質を加熱したとき、温度変化しないところでは、どのようなことが起こっているのか説明する。」に対して、提出者の6割が満足できる解答を、4割が課題の残る解答であった。しかし、加熱しても温度変化しないという現象自体を記述できていない解答はわずかであった。また、課題の残る解答も含め、「加熱しても温度は変化しない」という求めていた記述が多くみられた。グラフの図3‐24 教材のグラフ 図3‐26 初回のガイド(A校) 内容・技能に応じた部分の欄はすべて記載されている 小・中 読み解く力 22 図3‐25 第2時の教材 このグラフに、表をもとに自分で書き加える。 内容・技能に応じた部分の欄 94
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