図3‐21 読み解きチャレンジの問い 6.表題について、A、B、Cの各位置からはどのように … 図3‐22 水をはった水槽のマークはどう見えるか (A:ずれて見える、B:変わらない、 C:ずれて見える、D:見えなくなる(反射する)) 感じる生徒もいる。本時の学習では、全反射が起こると自分たちにはどのように見えるのかを体験し、どのような仕組みでそう見えるのかを説明できることが目標である。観察対象である顔の絵の下半分が全反射すると、図3-22Dのように一見消えただけのように見えるが、正確には対称の位置の景色が映っており、このことから水槽のガラス面が鏡のように光を反射していることがわかる。生徒には、水槽のガラス面で反射していることに気付き、なぜそう見えるのかを既習の全反射と関連付けて説明させたい。 そこで読み解きチャレンジでは、本時の学習内容を屈折と全反射で説明することができるように、問1~5で屈折と全反射の2つの事象について出題し、問6で本時の前半の主発問をそのまま出題した。問6の解答には次のようなものがあった。 ・ずれている/ずれて見える/ずれてるように見える/歪んでみえる/曲がっているように見える ・AとCはずれて見え、Bは真っすぐ見える。 ・Aからは少し右、Bからは前にあるように、Cからは少し左に見える ・全反射しているように見える こちらでも語句の不十分さがあるものの、斜めから見たとき空気を介した物体の位置と水を介した物体の位置がずれると認識している生徒が多かった。また、全反射という語句は知っているものの、それによってどのように見えるかなど、事象の理解とは結びついていない生徒もいることをうかがい知ることができた。 授業では前半、A、B、Cの各点から実際に観察してずれて見えることを確認し、またそれがどちらから見るとどうずれるかも記録し、ずれる理由を既習事項を踏まえてまとめた。後半では、水槽の側面から観察したらどうなるかを問い、予想を立てて観察した(図3-22Dは左側面。右側面からも観察した)。観察当初は「消えた」や「見えなくなった」といった発言が聞こえ、ワークシートに記入する姿が見られた。そこで指導者から「本当に消えているだけ?」と問うと、マークが消えたガラス面に反対側にいる生徒の姿が映っていることに気付いた生徒の発言により、多くの生徒が「消えた」ではなく「反射した」と結論付けた。その後のグループ活動では、指導者の解説なく「全反射」という語句を用いて考察する班もあった(図3-23)。読み解きチャレンジの問いのねらいとしては、「観察する角度が変わることで、マークのずれも変わること、そのずれが大きくなると、やがて全反射する」という知識を確認し、本時の学習での気付きに結び付けようとするものであった。観察の場面では、徐々に観察するポイントをずらし、それに応じて徐々にずれていく様子を観察したりしていたが、うまく事象を説明できて図3‐23 生徒のワークシート A 小・中 読み解く力 21 【表題】水を張った水槽を用意し、3方向から観察した。水槽に貼りつけた図はどのように見えるか。 5.全反射するのはどうなったときか。 見えるか。 B C D 93
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