図3‐20 読み解きチャレンジの問い □光源から出た光を直接見ているため。(17%) 92 A校の光の学習の第1時の目標は、「ものは、光源からの光をはね返し(反射し)、それが目に入ることで見える」ことを理解することである。これは光の学習をする上で最も基本的な理解であるが、生徒にとってはただ受け身に説明を聞くだけでは定着を図るのが難しいと感じていた。そこで、図3-20の読み解きチャレンジに取り組ませることにより、生徒自らが教科書の文章と図を照応させながら読み取り、表題に示した問いに対して自分の考えを形成できるようにした。 問1~4は基本的な知識について教科書から情報を取り出し答える問いで、7~9割の正答率であった。また、問5は教科書にある資料(詳しい解説がないもの)を参照させて、基本的な知識を関連付けて、現象を説明したものを選択する問いであるが、こちらも78%の正答率であった。授業で学習する前に取り組んだ問いであったが、教科書からの情報の取り出しも、それらの情報から判断して事象を解釈することも概ねできていたといえる。これは、これまでに教科書から情報を取り出す活動を繰り返してきたことによって、その力が高まっている表れと捉えることもできる。 さらに、問6の解答には、次のようなものがあった。 ・太陽が見えなくて反射して見えないから。 ・蛍光灯から出た光がガラスに反射したから。 ・光源から出た光が反射して映っているから。 これらはいずれもトンネル内外どちらについて説明しているのかが読み取れず、十分満足できる表現とはいえないが、光源を具体物で示したり、問1~4を解答する中で得た「ものは光がはね返って見える」という知識をあてはめたりして記述している。中には「昼は太陽の強い光が出ていてそれが何かに当たって反射して外の景色が見えるけど、トンネルに入ると電車の中の光が強くなるので中の光が窓ガラスに反射し、自分が窓ガラスに映って見える」というものもあり、取り出した情報だけでなく、光の強弱に視点を置き、自らの考えを述べる生徒もいた。ものが見えるしくみは、あまりにも身近な事象であることから疑問を抱くことも少なく、生徒にとってはその概念を理解するのは難しいことが予想されるが、問1~4を踏まえて取り組んだ問5、6の結果からは、生徒が教科書から取り出した情報を使用して思考し、筋道立てて説明しようとしていたことが伺える。 ⑤ 単元3 1章 光の性質(B校) B校での同章第5時では、図3-21の出題をした。水槽の中のものが実際に存在する位置とずれて見えることは体験的に知られており、生徒はこれが屈折という現象であること、屈折は物質の境界面で入射角と屈折角に違いが生じることで起こること、入射角が大きくなるとあるところから屈折せずに全反射することを既に学習している。しかし、これらの現象によって見える物体の様子を既習事項を結び付けて説明するには、見えている事実に光の性質を踏まえた光の道筋を補って考えなければない点に困難を小・中 読み解く力 20 【表題】あなたは鉄道に乗り、窓の外の景色を眺めています。鉄道がトンネルに入った途端、車内のようすが車窓に映りました。なぜ外とトンネルの中では窓から見えるものが変わるのでしょうか。 1.ものを見るためには何が必要だと書いてあるか。 ☑光(91%) □電気(0%) □目(4%) □ライト(4%) 2.光源を選びなさい。 ☑太陽(96%) ☑電灯(100%) ☑テレビ(70%) □本(0%) □黒板(9%) □机(0%) 3.光の直進とはどちらのことか。 ☑真っすぐ進むこと(74%) □四方八方に広がること(26%) 4.教科書には、ものを見るときにはいくつの場合があると書かれているか。(値を入力。正答は2)(52%) 5.矢印で示した灯台の「光」が見えるのはなぜか。教科書の文からその理由に合うものを選びなさい。 ☑光源から出た光の一部が、煙などに当たってはね返って目に届くため。(78%) □灯台の光は光源ではないため(0%) □夜は光源がないところでも物体が見えるから。(4%) 6.表題について、答えなさい。
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