Q.物質が溶解する量は何によって違うか。(完答38%) 図3‐17 読み解きチャレンジの問い 図3‐18 読み解きチャレンジの問い 小・中 読み解く力 18 90 め正確な発言とはいえないが、酸素の量(正確には割合)と燃え方の違いを結びつけて考えられている点は、この時点での解釈としては十分といえるだろう。 ② 単元2 3章 物質の状態変化 「液体⇆気体の状態変化」の授業では、液体のエタノールを入れて口を縛った袋に熱湯をかけると膨らみ、放置するとやがてしぼむ様子を観察する。この授業のための読み解きチャレンジの問いは、袋が膨らむのは中のエタノールが気体になることで体積が膨張するためであることを教科書から読み取らせるものとした。(図3‐17)。 生徒は現象の一般性の高い知識を自ら教科書を読む活動を通して把握し、それを確かめる視点で現象の観察に臨むことができた。また、生徒の中には膨張した袋を見て、中の液体がなくなっていることに気付く生徒もいた。外から熱湯をかけることで袋の表面に水が滴り、袋の中のようすには気付きにくいため、「液体のエタノールが気体になり、液体がなくなるのではないか」と予想して観察していただろう。理科で大切なこうした予想も、導入で読み解きチャレンジの問いに取り組み、教科書の文を読んだことから生じたものである。発言した生徒及びそれを聞いた生徒たちの観察の価値を高めることにつながったといえる。 ≪家庭学習での実施(A校)≫ A校の先行学習は、家庭学習と授業冒頭で本時の学習内容にあたる教科書の部分、毎時2ページ程度を読み、要点を生徒自身がワークシートに書き出すものである(10月下旬から実施)。この学習方法は研究協力員である指導者が4月当初から段階を踏んで定着・発展させてきたもので、9月に研究協力による実践を開始した段階ですでに、生徒は教科書を自発的に活用する習慣が一定、定着していた。家庭学習では章の初めや章末に学習する語句や概念などの関係をマッピングしたり、常々キーワードを取り出す活動をワークシート上で行っている。この学習活動を各自がより確かに行えるようにするために、教科書から情報を取り出す際の精度を高める手立ての一つとして読み解きチャレンジを実施した。 なお、読み解きチャレンジはウェブ上に問いがあるため、GIGA端末の持ち帰り、または家庭の端末からアクセスすることで、問いに取り組むことができるようになっている。 ③ 単元2 4章 水溶液 「水溶液から溶質を取り出す」実験の前時に当たる学習では、既習の「一定量の水に溶ける溶質の質量には決まりがある」ことを踏まえ、どのような操作によって水溶液から溶質を析出(=取り出す)させることができるかを考えさせた。この学習に必要な知識は、小学校4年生の「水よう液」で、「ものが水に溶ける量には限度があり、水の量が多いほど、また、温度が高いほど溶ける量が多くなり、それらは溶けるものによって違う」と学習している上、本時より2時間ほど前にも触れているが、それらの学習内容について本時でも改めて出題し、本時の学習に必要な、水に溶解する溶質の量の決まりについての知識が十分に定着しているかについて確認をする問いを教科書の文章から読み取れる形で出題した。生徒は家庭学習で、読み解きチャレンジに取り組んQ.熱湯を注ぐと、袋は膨らんだ。理由をすべて選びなさい。 Q.ものが水に溶ける量は何によって違うか。(完答63%) □液体のエタノールの質量が大きくなったから。(7%) ☑液体のエタノールの体積が大きくなったから。(40%) □液体のエタノールの密度が大きくなったから。(15%) ☑液体のエタノールが気体になったから。(61%) ☑水の温度(88%) ☑水の量(83%) ☑溶けるもの(75%) □ものの温度(4%) □ものの量(17%) ☑溶媒の温度(83%) ☑溶媒の量(83%) ☑溶質の種類(67%) □溶質の温度(21%) □溶質の量(46%) (完答17%)
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