このようなやり取りをする中で、児童Aは、キーワードが全て使えていないという指摘を受けることにより、自分が観察から得たことを十分に表せていないことに気付き、より詳細な理解を得ることにつながっている。この場合は児童Cが不足を補っているが、みんなに呼びかける前に、児童A自身に方角の記述を含めるよう気付かせる働きかけも可能であった。必要な用語を用いるよう促すことにより、「知識及び技能」をより確実に身に付けさせ、さらにその活用により、「思考力、判断力、表現力等」を育むことにもつながっていくと思われる。 ② 5年生「もののとけ方」 【授業の概要】 図3‐12 全体での説明の様子 にちかいときはかげが短くなるのかを知りたいです」というように、感想にとどまることなく、新たな疑問を抱くようになった。特に、何がわかったかを書くときに本時の学習のキーワードは何かを児童に問いかけることで、教科書やノートを参考にしながら学習した語句を使って学んだことを確かめていた。 〇説明する活動 今回の授業では、学級全体でまとめ・振り返りを説明し合う活動を行った(図3‐12)。下は児童が学級全体に説明している場面の一部である。 (説明する活動の記録) 児童A「かげの位置は時間がたつと変わるのかを実験して調べました。その実験からかげの位置は時間がたつとできる場所が変わるということがわかりました。かげがあるところの地面の暑さは変わるのかもっと調べてみたいです。」 指導者「Aさんに質問はありませんか?」 児童B「かげの位置という言葉が使えているけど、西、北、東も入れたほうがいいと思います。」 指導者「なるほど。じゃあ、みんな、どんな文章を付け足せばもっとわかりやすくなるかな?」 児童C「かげの位置は時間がたつと、西から北、東に変わります」 指導者「みんなどう思う?」 みんな「よくわかる」 指導者「じゃあ、もし自分の書いた文章に言葉が足りなかったら足してね」 B校5年生で実践を行った「もののとけ方」では、実験結果から考えたことを友だちに説明する場面で、学んだ語句を使って、自分の考えを筋道立てて説明できるかをグループで聞き合い、自分の説明を見直し修正する活動を行った。 本単元では、物が水に溶ける量や様子に着目して、水の温度や量などの条件を制御しながら、物の溶け方の規則性を調べる活動を行う。その活動を通して、物の溶け方についての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主に予想や仮説を基に、解決の方法を発想する力や主体的に問題解決しようとする態度を養うことを目標にしている。 本時の学習問題を「ものをもっと溶かすにはどうすればいいのだろうか」とし、グループで行った実験結果について、学級全体で交流し、指導者が実験結果にどのような傾向があるのかを問いかけ、一人一人が考察を書いた。その後に、グループで説明する活動を行った。考察の場面においてグループで説明する活動を行うことで、説明に欠かせない語句を使って説明できているのかや、実験結果から得た自分の考えが筋道だったものになっているかを確認し、語句を補ったりより的確な表現に置き換えたりすることができるようにした。 小・中 読み解く力 15 87
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