617_R4「読み解く力」最終稿【中村寿・中村洋】
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このように、資料(本時の場合は写真・動画)から必要な情報を取り出し、根拠を明確にして考えを書き表す活動を行った。実験結果から必要な情報を取り出し、言葉にして表現する活動を繰り返すことによって、児童は実験結果から自分の考えの根拠となる情報を取り出すことができるようになってきた。情報を取り出す中で、学習した用語を正しく使い、筋道立てて学習問題に対する自分の考えを相手に伝わりやすく説明することが少しずつできるようになってきた。 〇単元の中で活用場面を作ることによる語句の使用 この学習での重要な語句として、「浸食・運搬・堆積」が挙げられる。単元の中で、学習した語句を何度も活用する場面を作ることで、その語句が理解語彙から使用語彙へと、自分のものになることを目指した。単元計画の中で「浸食・運搬・堆積」は5時間目に学習するが、指導者はその後の学習の中でも、児童に「浸食・運搬・堆積」という語句をキーワードとして、「流れる場所によって、河原の石にはどのようなちがいが見られるのだろうか」や「川を流れる水の量が増えると土地の様子はどうなるのだろうか」という学習問題に対して、考察や結論を書くように指示をした。 さらに、単元のまとめでは、学んだことを活用するために「この校区を災害から守ろう」というテーマで、どのような防災施策をしたら校区を守れるのかを考えていく際に、「浸食・運搬・堆積」の語句を使って、なぜそのような防災施策をするのかを説明する活動を行った。(図3‐11) 図3‐9 デジタル版 論証フレームワークシート (筆者が一部加筆) 図3‐10 デジタル版に記入している様子 〇考察場面での様子 児童はこれまでの学習で、実験結果について自分なりに解釈し言葉で表す活動にはある程度慣れているが、数多くの資料から目的に合ったものを自ら選ぶといった手順はあまり経験してこなかった。そこで本時、写真や動画等で記録した実験結果から各自が情報を取り出して、言葉に表す活動を行った。 グループごとに流水実験器での実験結果を写真や動画で記録しており、学習支援ソフトを活用しグループ内で共有できるようにしている。そして、数々の写真などから自分の考えの根拠となる情報を含む記録を選び、GIGA端末を活用して論証フレームワークシートにその記録を張り付けて、記録の中から自分の考えに必要な情報を取り出し、言葉で説明している。 (図3-9、図3‐10)。 結果の説明(理由)の記述例 「流れる水には、くずす力があるといえる。実験結果から、水がながれてきたとき、泥水になっていた。そして、しばらくしたら、砂がすこしけずれていたから。」 「流れる水には、流す力があるといえる。どうしてかというと、実験結果から、流れているところは砂がけずれて、流されていたから。」 「流れる水には、ためる力があるといえる。実験結果をみると、土も一緒に流されているし、最後にためられているから。」 主張 結果 結果の説明 小・中 読み解く力 13 85

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