617_R4「読み解く力」最終稿【中村寿・中村洋】
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図3‐1 児童が提出したワークシート 図3‐2 調べる活動の様子 本単元は、光を当てたときの明るさや暖かさに着目して、光の強さを変えたときに起こる現象の違いを比較することにより光の性質の理解を図るとともに、光の性質について調べる活動を行う。観察、実験などに関する技能を身に付け、問題を見いだす力や主体的に問題解決しようとする態度を養うことを目標にしている。この実践は、全7時間の内、第2時である。単元の導入で、鏡で太陽の光をはね返して的に当て、それを観察して気付いたことを話し合い、気付いたことをもとにして学級全体で学習問題をつくっていった。そして、その学習問題を解決するために、どのような実験の方法が適切かを教科書を読み調べ、その過程で自分が意味を説明できない語句を調べる時間を設定した。この取組を通して、児童がわかっているようでわかっていない語句を自覚し、自ら調べることで、学習の理解をさらに深めることができるようにした。 【授業の実践と児童の様子】 〇教科書を読み、調べる活動の様子 本時の学習問題を確認した後に、指導者が「みんなの学習問題を解決するために、教科書ではどうやって実験しているかな?教科書を読んで調べてみよう。その時に、わからない言葉があったら、国語辞典で調べよう」と声掛けをして、活動が始まった。初めは、難しい言葉がないと言っていた児童に、指導者が「道すじって何?」と尋ねると、児童は言葉で説明することができなかった。児童は、知っているけれども自分の言葉で説明できない語句があることに気付き、他の語句も「じゃあ、これはどうかな?」と「反しゃ」「はね返す」「遠ざける」などといった語句を調べる姿が見られるようになった。多くの児童が一人で調べていたが、語句の意味が複数ある場合はそこではどの意味が妥当なのか相談したくなることもあり、友だちと力を合わせて進める姿も見られた(図3‐1、3‐2)。初めは、教科書を読んでわかっているようでわかっていない語句を自覚することができていなかったが、調べる活動を通してわかっていない語句があることを自覚することができるようになった。児童の中には「こんな意味もあったのか」とつぶやいており、改めて言葉の意味を知る機会になっていた。 児童によって意味を説明できない語句が異なるために調べる語句が異なる。 小・中 読み解く力 9 学習支援ソフトのクラウドに蓄積する活動は多くの児童が慣れており、スムーズに行うことができた。やり方に慣れてくると、休憩時間でも教科書を読み、調べて入力する姿が見られた。その後の授業では、指導者が調べる時間を設定しなくても、自分で教科書を開き、自発的に活動していた。こうした活動により、語句の意味を知ることの楽しさや、語句に着目すること自体への意識が高まり、自主的に語句を調べる姿が見られるようになった。 81

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