615_R4「自己調整」最終稿【久保田】
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第3章 実践の具体 図3-1 リソース活用方略について生徒に説明をする際に用いたスライド 中学校 学びを自己調整する力 7 (5) ベネッセ教育総合研究所 『小中学生の学びに関する実態調査 速報版』 2014.10 pp11-13 https://berd.benesse.jp/up_images/research/Survey-on-learning_ALL.pdf 2022.6.22 っても、未知の学習方略を知ることができ、新たに獲得した学習方略を試してみようと学習の動機づけにつながることがある。 学習は常に一人で行うものではなく、他者との関わりの中で行うものである。それは他者に頼ることを意味するのではない。とりわけ、学習を自覚的に自己調整してきた経験が少ない生徒にとってみれば、他者からの支援は主体的に学習を進めていくために必要となるであろう。GIGA端末を活用した実践を継続することで、生徒は効率的かつ効果的に学習の進め方を改善していくことができると考えている。 第1節 実践を始める前に (1)認知的方略の教示 学習を進める際に、生徒がそもそもどのような学習方略があるのか知らなかったり、限られた学習方略しかもっていなかったりすると、学習課題や目的に応じて適切な学習方略を選択することはできない。一方で学習方略は個々人によって独自の学習方略もあり、分類の仕方も多岐に渡るため、実践にあたり指導者から生徒に対して、前述したAからFまでの六つの認知的方略を事前に教示することにした。生徒が自己選択していく学習方略を指導者がある程度絞っておくことで、生徒がそれぞれの学習方略の特徴を理解することや学習方略を汎用的に活用していくことが容易になると考えたのである。 図3-1はC:リソース活用方略について、指導者が生徒に説明をする際に用いたスライドである。並んでいる数字を見るだけや文章を読むだけでは学習課題の内容や解説を理解することが難しいこともある。そんなときにグラフや図を用いることで、数字を見るだけでは捉えづらかった推移や変化、文章を読むだけでは理解しづらかった事象と事象とのつながりなどを視覚化することができ、より理解が深まることがある。日々の家庭学習や各教科等の授業の中で自身が活用している場面を生徒が想起しやすいように、六つの認知的方略それぞれについて具体例を用いながら説明した。また、認知的方略のそれぞれの名称については、例えばA:援助要請方略は「A:誰かと協力する方略」といったように生徒が馴染みやすい名称に変更することも考えたが、中学3年生という発達段階を考慮し、そのままの名称を用いることとした。 (2)セルフマネジメントシートの説明と指導者との共有 六つの認知的方略を教示することと合わせて、家庭学習の様子を記録し分析するためのシートである今年度版のSMSを生徒に配信し、指導者との共有を設定することにした。図3-2(p.8)はSMSへの入力と活用の仕方を生徒に説明した際に用いたスライドである。昨年度のSMSとの大きな違いは、選択した認知的方略を記録(図3-2中央丸囲いの部分)していくことである。生徒が記録しやすいように、AからFまでの記号をプルダウンして選択できるようにしている。 15

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