深めることは自分が勉強する時に一番大切にしていることです。 効果 理由がわかったら、より知りたいって思えて勉強がはかどりました。 生徒L:援助要請方略 理由 実験のときなど、友だちにアドバイスや考えた意見やヒントをもらって考えたから。 効果 ヒントやアドバイスをもらうことで、考えをより深めることができた。理解がしやすくなった。 認知的方略を選択した理由からは、自分の理解の状態を正しく捉えている生徒や、小学生の時や中学生になってから学んだ過去の学習内容との結び付きを見つけている生徒、自分の学習観を大切にしている生徒、過去の成功体験から認知的方略を選択している生徒がいることがわかった。認知的方略を選択した効果からは、前回の授業実践での振り返りと同様に、学習の理解が深まったことや「より知りたい」と動機づけを高めて、次の学習に向かっている生徒がいることもわかった。授業での実践により、それぞれの認知的方略がもつ有効性を生徒は実感し、学習課題や目的に応じて適切な認知的方略を自己選択していたことから、自己調整する力を汎用的に発揮していたと考えられる。「とにかく覚えればよい」「答えがあっていればよい」といった学習観が変化し、生徒は主体的に学習課題の解決に向かい、内容の理解や思考を深めることができたといえよう。 を助けたり思考をより深めたりすることにつながり、学習課題を解決するために有効であったことを生徒は実感している。B校においても、認知的方略の汎用的な活用を通して自己調整する力を育成していくことが期待できると考えた。 <11月中旬 酸・アルカリの濃さと中和> 今回の授業実践も単元の半ばで行っている。本時の目標は中和についての理解を深め、その仕組みを説明することである。生徒は前時の実験で同量の塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜて中性になったことを確認しているが、今回の授業の冒頭で行った実験では、それがアルカリ性になったり酸性になったりした。生徒からは「なんで」という声が挙がっており、指導者の巧みな展開により、生徒は動機づけが高まった状態で授業の目標の達成に向かっていった。 中性になる時、アルカリ性になる時、酸性になる時、それぞれの水溶液中のイオンの数をイメージするためには図にして表現することが効果的であるし、今回の授業でもモデル図を使って考えることが一般的である。しかし、生徒の中にはすぐにモデル図を書くことができない生徒もいる。そこに認知的方略を自己選択する機会が生まれると考えた。生徒は友だちと相談したり、過去の授業の板書(B校では学習支援ソフトを利用して、過去の授業の板書をGIGA端末でいつでもどこでも閲覧できるようにしている)を見たり、それぞれが最適だと考える認知的方略を選択し、中和のしくみを理解した上で、モデル図を作成し学習課題の解決に取り組んでいた。以下は生徒の振り返りである。 生徒I:リソース活用方略 理由 反応式だけを見ても、なぜそうなるのか理由がすぐにわからなかったから。 効果 図で表すことですぐに何が起こっているかわかった。 生徒J:関連付け方略 理由 小学校のときや中1、中2で学習した内容が少し入り込んでいたから。 効果 自分の体験で不思議に思ったことを理解できて納得できる 生徒K:意味理解方略 理由 知識として覚えるだけだと理科の楽しさが分からないと思うからです。意味を理解して思考を 図3-16 中和の実験(塩酸と水酸化ナトリウムを混ぜる) 26 中学校 学びを自己調整する力 18
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