615_R4「自己調整」最終稿【久保田】
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生徒A:援助要請方略 理由 友だちといっしょに勉強することで説明し合えてもっと頭に入るから。 効果 説明してもらって理解する。説明して、より自分が理解する。 生徒B:リソース活用方略 理由 図を使うと書き込んだり消したりできてわかりやすいから。 効果 いままでだったら友だちに聞いたり、先生に聞いたりしてたけど、図を使って考えると一人で 解くことができた。 生徒C:関連づけ方略 理由 いままで習ったことを使えば問題が解けると思ったから。 効果 この公式はここでも応用ができるんだと知識を深めることができた。 生徒D:意味理解方略 理由 意味をしっかり理解することで、自分一人で解けるようになると思ったから。 効果 解き方をしっかりと理解することができたので、次に生かすことができそう。 題を解決するためであり、目的意識をもつことを生徒と再度確認した。また、学習課題を解決するまでの過程や「なぜそうなるのか」といった意味理解を大切にすること、一度選択した認知的方略にこだわるのではなく、上手くいかなかったら違う認知的方略を選び直すことも指導した。そして、認知的方略を活用することの有効性を実感することができずにいる生徒のために、認知的方略を活用する具体を指導者が実演してみせることを行った。 指導者は、問題文だけを頼りに頭の中で考えるのではなく、図にすることで、辺と辺との位置関係や角度を視覚的に捉えることができ、学習課題の内容をより深く理解することができると生徒に伝えた。もちろん、円の性質という単元の内容から図を活用することは必然であるが、課題プリントの中にはあえて図を記載していない学習課題もあり、生徒が図を活用することのスキルを上げることと、図を活用することの有効性を実感することを目指した。指導者による実演を糸口として学習課題に取り組む生徒や「やっぱり図にするとわかりやすくなるし、いいな」と声を挙げる生徒もいた。 以下は今回の授業での生徒の振り返りである。なお、これより論文内で生徒の振り返りを紹介する際は生徒の記述を抜粋したものにする。 生徒はこれまでの授業実践で有効性を実感することができた認知的方略を活用しており、経験にもとづき、学習課題や目的に応じて認知的方略を自己選択していた。また、指導によって、前回の授業実践では一方的な援助要請に終始していた生徒も「互いの学びのために」と目的意識をもって学習に取り組んで図3-14 学習課題の一例 生徒はどのように解くか 中学校 学びを自己調整する力 16 24

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