-認知的方略の汎用的な活用を通して- F02-01 報告 615 Key Words:認知的方略、自己選択、振り返り、学習の質の向上、自己調整する力の汎用的な発揮 「どのように学べばいいのか」「どのように考えればいいのか」といった、学び方や考え方にあたる学習方略を生徒は備えることができているだろうか。本研究では、自らの学習過程を客観的に捉え、適切な学習方略を選択し学習を改善するための振り返りを行うことにより、主体的に学習を進めていくことができる生徒の育成を目指した。 実践では、家庭学習と授業の双方の場面で、生徒が学習課題を解決するための見通しを立てた上で認知的方略(自分自身の記憶や思考など認知的なプロセスを調整することで効果的な学習を促す学習方略)を自己選択し、それを振り返るという自己調整に取り組んだ。また、表計算ソフトで作成したシートに生徒は家庭学習の情報(学習した時間、内容や学習方略、テストの結果など)を蓄積し、指導者と共有しながら自身の学習の進め方を分析し調整することを行った。 実践の結果、生徒は認知的方略を有効な学習方略と捉えるようになり、適切に自己選択しながら学習課題の解決に向かうようになった。双方の場面で積み上げた自己調整の経験を学習に生かし合うことで、学習の質を向上させることができていた。また、これまで無自覚であった自己調整を自覚したことから、自己調整する力を日頃の生活でも汎用的に発揮できる力だと理解し、学習以外の場面でも発揮しようとする生徒が現れはじめた。 久保田 守(京都市総合教育センター研究課 研究員) 7 家庭学習と授業の相互で目指す 学習を自己調整する力の育成
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