○ R3教育研究の方向性【総論】
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多様な子供たちを誰一人取り残すことのない,個別最適化された学びが実現 〇児童生徒一人一台コンピュータや高速大容量通信ネットワーク環境の下,教師を支援するツールとして先端技術を有効に活用することなどにより,子供たち一人一人の資質・能力を伸ばすという観点から,読解力などの言語能力や①情報活用能力などの育成に向けた基盤としての資質・能力の確実な習得が行われるとともに,②多様な子供たちの一人一人の能力,適性等に応じ,子供たちの意欲を高めやりたいことを深められる学びが提供されている。 〇デジタル教科書・教材等の先端技術や教育ビッグデータを効果的に活用できる環境の整備,統合型校務支援システムの導入などにより,児童生徒理解に基づく指導・支援の充実や③ICT化による校務の効率化がなされている。 教育研究の方向性 4 5 (4)GIGAスクール構想と課題 教育の情報化を推進する具体の政策としてGIGAスクール構想が実現することとなった。令和の学校教育の姿を模索するにあたり,GIGAスクール構想は切り離すことのできない要素である。 令和元年12月5日に閣議決定された「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」において,以下の内容が示された(14)。 これにより,令和5年度(2023年度)までに,児童生徒が一人一台ずつ端末を持った環境の整備が目指されることとなった。 初等中等教育において,Society5.0という新たな時代を担う人材の教育や,特別な支援を必要とするなどの多様な子供たちを誰一人取り残すことのない一人一人に応じた個別最適化学習にふさわしい環境を速やかに整備するため,学校における高速大容量のネットワーク環境(校内LAN)の整備を推進するとともに,特に,義務教育段階において,令和5年度までに,全学年の児童生徒一人一人がそれぞれ端末を持ち,十分に活用できる環境の実現を目指すこととし,事業を実施する地方公共団体に対し,国として継続的に財源を確保し,必要な支援を講ずることとする。 また,同月公開された「新しい時代の初等中等教育の在り方 論点取りまとめ(令和元年12月初等中等教育分科会)」においては,2020年代を通じて実現を目指す学校教育のイメージが示された(15)。 個別最適な学びを大切にしながら,一人一台の端末(以降GIGA端末)の目的も,①情報活用能力育成,②教科指導におけるICT活用,③校務の情報化 にあることが改めて言及された。 GIGA端末が急速に整備されていく中で,課題も生まれた。2020年7月から8月に全国の教育長に対して行われたアンケートの結果(16)による,ICTの利活用に関する課題の上位5項目を示す。 ③に関しては,このアンケートの後に調査された「GIGAスクール構想の実現に向けたICT環境整備の進捗状況について(速報値)」によれば概ね解消している。⑤については,タッチペンや充電器,保護シート等端末関連アクセサリの購入費,壊れたときの代替機の用意等が考えられる。また,機械は年々劣化していくわけであるから,維持費も考えると学校設置者である教育委員会にとっては悩ましい問題である。 注目すべきは①であろう。整備が整ったとしても,それを利活用し指導する側である教職員の知識・スキルが追いついていないという現状がうかがえる。①を解消するための研修を行おうにも,④のように情報が不足しているという厳しい状況が見える。効果的なGIGA端末活用についての情報を一刻も早く集め,あるいは創出し,十分な研修と周知を行うことが各委員会に課された務めといえるであろう。 ①教職員がICTを利活用するための知識・スキルが不足(研修機会等が不十分) ②ICT支援員が不足 ③学習者用端末が未整備 ④効果的なICT利活用についての情報が不足 ⑤ICT利活用を進めるための関連予算が不足 ※数字,下線は筆者による

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