左記やりとりにおける板書 以下は,1年生が初めてGIGA端末を使う直前の指導者と児童のやりとりである。 S:動画もできる T:これを使ったらどんなことができると思う? S:勉強ができそう S:写真を撮ることができる T:どうやって勉強に使うのかな? S:動画を撮ることができる S:写真を撮って勉強に使う T:他は? T:例えばどんな時に勉強で写真撮るの? S:写真を撮ったら,お気に入りの写真にできる S:①生活でアサガオのつぼみとかを撮ってみん S:動画は見て楽しめる なに見せるためです S:写真はずっと思い出に残しておくことができる S:②なっとくなっとくなっとく(大勢の声) S:遠足でいいものがあったら残したい S:きれいなものも残したい S:お絵かきもできる S:しらべることができる T:おうちでお父さんやお母さんのタブレットで調べることはある? S:あるー S:はやくやりたい (中略) T:大事に使う時どうしたらいい? S:両手でもつ S:おとさない このやりとりにおいて,指導者はきまりや約束という言葉は使っておらず,きまりを書いた紙を配付してもいない。しかし,子どもたちに端末の使い方を想像してもらう中で,自然と学習に使うものであるというイメージをもたせることができている。その上で,いろいろなことができるGIGA端末を大切にしたいと投げかけ,児童が扱い方を考えている。前向きな導入になったといえよう。 また,児童が下線部①のように生活科での使い方を考え出している点も重要である。このアイデアは端末の使い方としてかなり的を射ており,下線部②のように多くの賛同を得ていた。もちろん,彼らが写真を共有し比較することで何か新しい発見があることを想定しているとは考えにくい。おそらく友だちに自分の成果を見てもらいたい,あるいは友だちの成果を見たい,という気持ちからのアイデアであろう。そうであるならば,一人一台端末が配備されたおかげで彼らの望みを叶えることは容易くなったのであるから,共有したいという彼らの気持ちを生かし,共有したことをもとに深まるような授業を構想していきたい。 (2)教師主導で使い方を教える 上記のやり取りの後ログイン練習をしたのだが,そこでログイン速度の差に直面する。デジタルネイティブ世代と呼ばれ,家庭でスマートフォンに触れる機会もある子どもたちとはいえ,桁数の多いIDやパスワードを入力する速度にはかなりの違いがある。入力しなければならないIDと入力したIDを1対1で正確に対応させる力に差があるためであろう。2度目のログインでは,一番早い児童で1分強,全ての児童がログインを終えるまでには10分強を要した。この段階で教科等の授業においてGIGA端末を活用できるかというと,それはハードルが高い。授業時間内にログインしようとすると,教科等のめあてを達成するために必要な活動時間を確保できなくなるからである。 小学校では,コンパスや彫刻刀,絵の具など様々な文房具の使い方を教えるが,それらと同様に教科等の学習に必要な技能として,十分な練習時間が必要である。例えば,絵の具を初めて扱う場合は,いろいろな太さの線を引いてみよう,いろいろな丸を描いてみよう,線を重ねたらどうなるかな,のようにいろいろな使い方を試し習得すること自体をねらいとした時間を設定する。1時間十分にいろいろな使い方を試したのちに,何らかのイメージを表現する活動に移るのである。 GIGA端末もそのようにしてはどうだろうか。帯時間で練習することもできるが,ログインに慣れるま小学校 情報教育 7 137
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