図1-3 7月末の各学年の週当たりのGIGA端末活用頻度(n=25) 図1-4 GIGA端末活用の課題・困り(n=29 単位は人) が多いもの,あるいは自治体で一括契約するクラウドサービス・学習支援ソフトに備わっている機能だということである。表1-1の例を見ても,検索用ブラウザ,プレゼンテーションソフトまたは機能,写真・動画撮影機能であり,どの端末であっても実行可能である。つまり,子どもが基本的な機能の扱いさえ習得してしまえば,仮に転校して地域が変わり,使うGIGA端末のOSや使えるクラウドサービスが変わったとしても,対応しやすいということになる。これは指導者側のメリットにもなる。ある授業で使われる機能がどの端末やサービスにも基本的に備わっているものであれば,その授業は端末やサービスの異なる地域でも真似することができるということである。これが,特定の教科内容に特化したソフトを使った授業であると,そうはならない。その授業ができるかどうかは,まずそのソフトを購入,ダウンロードすることができるかどうかに関わってしまう。そのソフトが学校独自に購入したものであるならば,A校でできた実践は隣のB校ではできないということになってしまう。 そもそもGIGAスクール構想で使用される端末は,クラウドサービスを使うことを前提としている。保存領域が小さかったとしても写真・動画撮影機能とブラウザ起動さえできればいいわけである。この構想そのものに沿うという意味でも,学習過程に当てはめてICTを活用する授業デザインが適切であろう。 第2節 低学年の実践より (1)導入期に留意したいこと ①指導者と児童のストレスを軽減する GIGA端末活用における最大のハードルはおそらく,低学年での導入であろう。ローマ字はもちろん,ひらがな,カタカナ,漢字が読めないまたは書けない子どもたちも一定数いる中で,それらによって表記されている端末を使うのである。ログインするために必要なIDを見せても,自分のIDに対応する文字をキーボードから探して入力するだけでも時間がかかる。しかし,子どもたちはGIGA端末への興味・関心がとても高く,使いたくてうずうずしている。早く次の活動に移りたくてつい焦って操作してしまう。焦りはエラーにつながり,繰り返されるエラーに子どものイライラが増していく。 このような予想ができるからこそ,担任の先生は不安でいっぱいである。文字入力だけでなく,誤った操作をして対応できない事態に陥らないだろうか,まだまだ体が小さく力も弱い子どもたちがGIGA端末を落として壊さないだろうかと不安は尽きない。それを示してか,7月末に行った研究協力校へのアンケート(以降実践前アンケート)によると,各学年の週平均の活用日数は図1-3のとおりであった。各マスの数字はクラス数を示すが,専科を担当する教員と様々な学年の児童が在籍する育成学級を除いて考えると,低学年ほど活用頻度が低いことが分かる。 我々教員の多くは授業でタブレット端末を使ったことはなく,義務教育段階で一番幼い1年生が授業中にどのように使うのか,イメージがわかなくて当然である。構想スタートから5年も経過し,全学年がタブレット端末を使うのが学校の常識になればそういった不安も解消されるのかもしれないが,GIGAスクール構想はまだ始まったばかりである。 右の図1-4は,実践前アンケートにおいて「GIGA端末を活用した授業を行おうとしたり,実施したりするにあたり感じている課題や困り」を質問した結果である。多くの教員は児童のICT操作スキル以上に自身のICT操作スキルに不安を抱いていることがわかる。基本的な使い方は知ってい小学校 情報教育 5 135
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