図1-2 SAMRモデルを解釈し具体化した4つのステップ 表1-1 国語科,社会科でのICTの活用例 134 だちの考えから情報を得ようともするはずだ。このように,子どもたちが主体的に学習に取り組む中で,主体的にICTを活用しようとしたとき,その活用方法は自然と単元を通しての活用,さらには単元や教科を越えたものへと変わっていくであろう。 四つ目のステップはR(再定義)であるが,学習プロセスの転換が活用特徴であるとされている。具体としてはオンラインで接続されたワークグループや京都市立学校のホームページのようなCMSと統合した学びとされている。例えば,作品をCMS上にアップロードして,外部からのフィードバックを得てその結果をもとにしてアップデートするような活動や,他校と共同で一つのコンテンツを作っていくような学習が考えられる。子どもたちの学習成果がより広範に影響するものになることから,豊福は学習成果の社会化という言葉を使っている。このR(再定義)のステップに,果たして義務教育段階で至ることができるのか,至ることができるようになるためには義務教育段階でどのステップまで進むことができるのか,今後の実践の蓄積が必要であろう。 ここまで,豊福の論を基にしながらSAMRモデルの解釈と具体化を試みた。これを表1-2に再整理する。 本研究においては,SAMRモデルにおけるA【増強】までを到達目標として実践を進める。またこのステップを達成できた学年についてはM【変容】の実践に挑戦していき,どの学年であれば各ステップに至れるのか,それまでに具体的にどのような活動を行う必要があるのか,一定の基準を示せるように取り組みたい。 (3)学習過程に当てはめる利点 情報の収集,整理・分析,まとめ・表現,評価・改善という過程を経ながらICTを使って問題解決することが理想の姿であるとした。そこに至るためには,情報の収集の場面では,インターネットを使って検索したり,写真や動画で記録を残したり,アンケート調査をしたりするというように,学習過程に当てはめて情報の扱いを学び,経験していく必要がある。 この方法には利点がある。それは二つの意味で汎用性が高いということである。 一つは,上記のような学習過程は様々な教科等の授業に当てはまるので,ICTの日常的活用に合致するということである。『GIGAスクール構想のもとでの国語科の指導について』には,考えられるICT活用場面として,情報を収集して整理する場面,考えたことを表現・共有する場面というように,学習過程に対応する形で紹介されている(7)。社会科も同様であるので,例として表1-1に示す(8)。 社会科の具体例を見ると,情報を収集する場面において,写真機能や動画機能での情報の記録が挙がっている。例えば,生活科や総合的な学習の時間での情報を収集する場面においても,同様のICT活用が考えられよう。他の具体例についても,他教科等での活用がすぐ思いつきやすい汎用的なものばかりではないだろうか。 もう一つは,学習過程に当てはめた活用に必要なソフトや機能は,端末に基本的に備わっていること小学校 情報教育 4
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